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環境性能と安全性能を大幅に向上したランドクルーザー300は510万円から

ランクル300の記事|,,

  • 投稿日:2021/8/20
  • 更新日:2022/4/5
VX(ホワイトパールクリスタルシャイン)

VX(ホワイトパールクリスタルシャイン)

ランドクルーザー300とは?

基礎となるプラットフォームに加えてパワートレインも刷新

ZX(ガソリン車)(プレシャスホワイトパール)<オプション装着車>

ZX(ガソリン車)(プレシャスホワイトパール)<オプション装着車>

2021年6月に世界初公開され、正式な発表、発売が待たれていた新型ランドクルーザー。2021年8月2日にランドクルーザーが14年振りにフルモデルチェンジを行い、300シリーズと呼ばれるニューモデルが販売開始されました。ランドクルーザーは1951年8月、強力なエンジンを備えた4輪駆動車、トヨタ BJ型として誕生しました。以降70年にわたり、それぞれの時代で「お客様をはじめ、このクルマに関わる様々な人々に安全と安心をお届けすること」を目指して開発されているトヨタSUVラインアップのフラッグシップモデルです。

ランドクルーザー300系の内外装(海外仕様)

ランドクルーザー300は、歴代ランドクルーザー(ステーションワゴン型)のDNAを継承し、キャビンをできるだけ後方に配置する「キャビンバックワードプロモーション」を採用しています。

また、ラジエーターグリルをヘッドランプと共に高い位置に配置。前後バンパーの下部も障害物をいなせるような造形とするなど、オフロード走行時の機能性を重視したデザインとなっています。全高は高くなっていますが、全長やホイールベースそして、悪路走破性の指標となる対地障害角(アプローチアングル:32°、デパーチャーアングル:26°、ランプブレークアングル:25°)は従来から変更がなく、高いオフロード走破性を継承しています(アプローチアングルは一部異なります)。

ランドクルーザー300系のラダーフレームとサスペンション(海外仕様)

ランドクルーザー300は、伝統のラダーフレームを刷新しました。トヨタのクルマ構造改革である「TNGA」を採用したGA-Fプラットフォームを採用。先代より20%剛性が向上しつつ、車両として約200kgの軽量化そして低重心化、前後重量配分の最適化を実現しています。

また、プラットフォームの刷新により、サスペンションも新開発となりました。フロントがハイマウント・ダブルウィッシュボーン式、リアがトレーリングリンク車軸式。特にリアサスペンションはショックアブソーバーの配置を最適化することで、乗り心地と操縦安定性を向上しました。さらにブレーキング時の車両姿勢の安定性を高めるとともに、悪路走行時のホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も向上させており、どんな路面状況でも高い走行性能を発揮します。

ランドクルーザー300系のエンジン(海外仕様)

搭載するエンジンも一新。排気量はダウンサイジングを図る一方で、ツインターボを装着することで、パワフルさは変わりません。ランドクルーザー200はガソリンエンジンだけでしたが、ランドクルーザー300は3.5L V6ツインターボに加えて、ランドクルーザー100以来となる3.3L V6ディーゼルツインターボを設定。両エンジンともにトランスミッションは10ATが組み合わされます。

走行性能を向上させる電子デバイスに加えて、安全装備では最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」、さらにセキュリティ面では指紋認証スタートスイッチをトヨタ車で初めて採用しました。

タフな走行性能で日本だけでなく、世界で高い人気を誇るランドクルーザー。最新モデルのランドクルーザー300は伝統のタフな走行性能に加えて、高い安全性能や最新セキュリティを採用したフラッグシップSUVに相応しいモデルに仕立てられています。

ランドクルーザー300 歴代モデルとのボディーサイズ&仕様比較

車種 ランドクルーザー100 ランドクルーザー200 ランドクルーザー300
販売時期 1998年1月〜2008年8月 2007年9月〜2021年7月 2021年8月〜
全長 4,890mm 4,950mm 4,950〜4,985mm
全幅 1,940mm 1,980mm 1,980〜1,990mm
全高 1,890mm 1,870mm 1,925mm
最小回転半径 5.9m 5.9m 5.9m
車両重量 2.290〜2.550kg 2,430〜2,690kg 2,360〜2,560kg
乗車定員 5〜8名 5〜8名 5〜7名
100系 ガソリン
4.7L(V8:2UZ-FE)

ディーゼル
4.2L(直6ターボ:1HD-FTE)
ガソリン
4.7L(V8:2UZ-FE)

4.6L(V8:1UR-FE)
ガソリン
3.5L(V6ツインターボ:V35A-FTS)

ディーゼル
3.3L(V6ツインターボ:F33A-FTV)
4WD方式 フルタイム フルタイム フルタイム
新車時価格 403〜494万円 473〜683万円 510〜800万円

ダカールラリーでの経験を導入した新グレード“GR SPORT”を追加

GR SPORT(ガソリン車)(プレシャスホワイトパール)<オプション装着車>

GR SPORT(ガソリン車)(プレシャスホワイトパール)<オプション装着車>

ランドクルーザー300は従来の標準系モデルに加えて、より悪路走破性を向上させた新グレードGR SPORTの2種類を用意するモデル体系となっています。このGR SPORTは世界一過酷なダカールラリーで鍛え創り上げられたモデルで、ガソリン車、ディーゼル車にそれぞれ設定されています。一方の標準系グレードはガソリン車では価格順にエントリーグレードでGX、AX、VX。そして最上級グレードのZXとなり、ディーゼル車はZXのみとなります。

乗車定員はガソリン車のエントリーグレード、GXだけが5人乗りで、その他は7人乗りです。一方のディーゼル車はすべて5人乗りとなります。したがってランドクルーザー300で7人乗りが欲しいならばガソリン車を選ぶことになります。ディーゼル車で7人乗りの設定がないのはちょっと残念に感じます。

ZX(ディーゼル車)(内装色 : ニュートラルベージュ)<オプション装着車>

ZX(ディーゼル車)(内装色 : ニュートラルベージュ)<オプション装着車>

ボディサイズは、ランドクルーザー200と比較すると全長、全幅はほぼ同じですが、全高は約80mm高くなり、室内空間が拡大しています。その一方で、車両の重心高が高くなってしまいそうですが、新開発のGA-Fプラットフォームは低重心も達成しているため、その心配は必要ありません。

グレード構成を見てみると、ガソリン車はエントリーグレードで5人乗りのGXの車両本体価格は510万円、7人乗りのAXが550万円。VXは630万円で最上級グレードのZXが730万円。そしてGR SPORTは770万円と最大で260万円差となります。

一方のディーゼル車はZXが760万円、GR SPORTは800万円と乗車人数は5人乗りとなりますが、ガソリン車より30万円高となっています。

ランドクルーザー300系のリアバンパーなど(海外仕様)

グレードによる内外装の違いを紹介すると、GX、AX、VXはシルバー塗装(メッキ加飾付)のラジエターグリルとフロントバンパーを採用しています。

ZXでは、シルバー塗装(メッキ加飾付)のラジエターグリルとメッキモール付のフロントバンパーを採用し、より上質さを演出しています。

GR SPORTは専用のTOYOTAの文字が個性を主張するラジエターグリルとフロントバンパーを採用しています。リアバンパーもZFはメッキモール付きのエアロバンパー。

そしてGR SPORTはバックドア下端デカールのリアバンパーとなります。

ハンズフリーパワーバックドア(ZX(ガソリン車))

ハンズフリーパワーバックドア(ZX(ガソリン車))

サイドビューではGXがボディ同色のフロント・リアホイールアーチモール、サイドステップはアルミ(オプション)となります。AX、VXはサイドステップの素材がアルマイトに変更され、ZXではサイドステップは、LED照明付エアロ一体タイプを採用しています。GR SPORTでは、フロント・リアホイールアーチモールはGR専用のブラック、サイドステップはアルマイトとなります。標準装備のホイール&タイヤは、18インチのシルバー塗装のアルミホイールに265/65R18タイヤです。VXのサイズは同じですが、アルミホイールがスーパークロムメタリック塗装となります。そしてZXはスーパークロムメタリック塗装の20インチアルミホイールと265/55R20タイヤが標準装備されます。またGR SPORTはマットグレー塗装の18インチアルミホイールに265/65R18タイヤが標準装備されます。

こうして見ると、GX、AX、VXを標準モデルとすると豪華仕様のZX、スポーティなGR SPORTとそれぞれ個性を主張しています。高価格なZXとGR SPORTはAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)と呼ばれる電子制御サスペンションをはじめ、LEDヘッドライトの照射範囲を状況に応じて変化させるアダプティブハイビームアシスト、チルト&スライド電動ムーンルーフ、バックドアをスイッチ一つで電動開閉可能なパワーバックドアなどの快適装備が充実しています。このメニューを見たら200万円以上の価格差は納得できます。

ランドクルーザー300エントリーグレードのGXはアウトドアライフのパートナー。そして最上級グレードのZXは新時代の高級車の提案というモデルによってユーザー層も変わりそうです。

アップデートされた運転支援システムと走行安定性を高める様々な電子バイスを採用

電子デバイス

ランドクルーザー300には、様々な電子デバイスが搭載されています。

ランドクルーザー200のモデル末期に搭載された、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」は最新鋭のシステムにアップデートされています。ぶつからないをサポートするプリクラッシュセーフティをはじめ、高速道路のクルージング時に車線内を走行させるレーントレーシングサポート。高速道路などでの追従走行を可能とするレーダークルーズコントロール。夜間の視界を確保するアダプティブハイビームシステム(ZX GR SPORT)/オートマチックハイビーム。そしてドライバーの標識見逃しをサポートするロードサインアシストの5つ機能でドライバーをサポートしてくれます。

プリクラッシュセーフティは直進時の歩行者(昼夜)、自転車運転車(昼)を検知するだけでなく、交差点での右折時に対向直進車・右左折時の対向方向から来る横断歩行者検知機能も追加。さらに緊急時操舵支援機能や低速時加速抑制機能などさらに機能が充実しました。

マルチテレイン

また、高い走行性能を実現するために様々な電子デバイスが搭載されています。ランドクルーザー300全グレードにオフロード走行において、タイヤの空転によるスタックや駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を6つのモードから選択できるマルチテレインセレクト。凹凸の大きなオフロードや滑りやすい路面を走行する際に、アクセルやブレーキ操作することなく、ステアリング操作のみで極低速走行が行えるクロールコントロール。トランスファーギヤ位置がH4の時にドライバーの好みに合わせて6種類の走行モードから選べるドライブモードセレクト。そして、フロント画面表示中に車両を停止させ、画面内のスイッチを押すことで、普段は見ることのできない車両を床下の状況を見ることができるフロアービューを標準装備しています。

スタビライザー(海外仕様)

また、新グレードGR SPORTはE-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)を搭載。この機能は、前後のスタビライザーを独立して電子制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じて、効果を変化させます。これにより市街地での走行安定性とオフロードでの走破性を高次元で両立させます。そして、電動デフロック(フロント)を標準装備・様々な悪路環境において優れた走破性を発揮します。

そして注目は、トヨタ初の指紋認証スタートスイッチの採用です。スタートスイッチ中央にスマートキーを携帯し、ブレーキを踏みながらスタイとスイッチ上の指紋センサーをタッチすると、車両に登録された指紋情報と照合。指紋情報が一致しなければエンジンが始動しません。この機能はGXだけがオプションで、そのほかは標準装備となっています。車両盗難の多いランドクルーザーにおいて、これらは必要な装備といえるでしょう。

3ランドクルーザー300 仕様&装備

搭載エンジンの排気量はダウンサイジングされツインターボを装着

300系(海外仕様)V6 ガソリン ツインターボエンジン

300系(海外仕様)V6 ガソリン ツインターボエンジン

ランドクルーザー200は4.7Lと4.6LのV型8気筒エンジンを搭載していました。しかし、ランドクルーザー300は燃費&環境性能を向上させるために、排気量をダウンサイジングしました。また、ランドクルーザー100以来途絶えていたディーゼルエンジンが復活しています。

ランドクルーザー300に搭載されているエンジンは、3.5LV型6気筒ガソリンと3.3L V型6気筒ディーゼルエンジンの2種類です。どちらのエンジンも最高出力を向上させるためにツインターボが採用されています。まず、V35A-FTS型の3.5L V型6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最高出力415ps/5,200rpm、最大トルク650Nm/2,000~3,600rpmを発生させます。使用燃料はハイオクガソリンで、燃費性能はWLTCモードで7.9~8.0km/Lとなっています。これは、トヨタのクルマ構造改革である「TNGA」の思想に基づきランドクルーザー伝統の信頼性を継承したエンジンです。最適化した燃料噴射で燃えかすの発生を抑えるマルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用やロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出します。

300系(海外仕様)V6 ディーゼル ツインターボエンジン

300系(海外仕様)V6 ディーゼル ツインターボエンジン

一方、F33A-FTV型の3.3L V型6気筒ディーゼルツインターボエンジンは、最高出力309ps/4,000rpm、最大トルク700Nm/1,600~2600rpmを発生。使用燃料は軽油でWLTCモードは9.7km/Lを実現しています。ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクタといったエンジン各部の構造を最適化し、700N・mの最大トルクと、優れた燃費性能を両立しました。新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボが、あらゆるシーンで爽快な加速感をもたらす過給性能を実現。低速域ではシングルターボの高レスポンスによる力強い加速に、高速域ではツインターボの大吸気量によるのびやかな加速を実現しています。

両エンジンに組み合わされるトランスミッションは、V6ツインターボエンジンの性能を引き出すダイレクトシフト10速ATです。発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現するだけでなく、多段化によりギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地の良い走りのリズムと、高速燃費の向上、発進加速・オフロード性能の向上をすべて実現しました。

さらに、それぞれエンジンの特性に合わせた駆動力特性と変速タイミングを最適化。ガソリンエンジンでは高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を、ディーゼルエンジンでは低回転から盛り上がるトルク特性を生かします。

ランドクルーザー300の駆動方式はフルタイム4WDです。センターデフにトルセンLSDを採用し、路面状況や走行状態に応じて、前後のトルク配分を最適にコントロールします。通常走行時はフロント40:リア60ですが、旋回加速時にはリアに駆動力を配分し、優れたコーナリング性能を発揮します。また、前後輪のいずれかがスリップした際にも瞬時に他方へトルクを配分し、車両の安定性回復に努めます。

ランドクルーザー300 購入の際のポイント

充実した装備を考えるとZXがバリュー感抜群。価格と装備のバランスはVX

ランドクルーザー300の車両本体価格はエントリーグレードGXの510万円~最高値の3.3Lディーゼルターボエンジンを搭載したGR SPORTの800万円と約290万円差があります。ガソリンエンジン車は5グレード、ディーゼル車2グレードの合計7グレードあるランドクルーザー300の購入の際のポイントについて紹介しましょう。

ZX(ガソリン車)(内装色 : ニュートラルベージュ)<オプション装着車>

ZX(ガソリン車)(内装色 : ニュートラルベージュ)<オプション装着車>

まず、乗車定員ですが、ディーゼル車とガソリン車のエントリーグレードGXは5人乗り。そしてその他のガソリン車は7人乗りとなります。したがって3列シート仕様車が欲しいという場合はガソリン車しか選べません。ウィンカーにLEDシーケンシャルターンを採用しているなど上級グレードのZX、GR SPORTの装備の充実ぶりは目を見張るものがあります。購入資金に余裕がある人はZXかGR SPORTの購入をお勧めします。

それら2グレードを除いて装備面などでオススメのグレードはVXです。予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」で、上級グレードと同じレーントレーシングアシスト(LTA)を採用していますし、オプションのパワーバックドアが唯一設定されているグレードです。さらに、カラーヘッドアップディスプレイや寒い日に役立つステアリングヒーター、ドライブポジションを自動で設定してくれる、マイコンプリセットドライビングポジションシステム、本革シート。そしてフロントシートだけですが、快適温熱シート+シートベンチレーション機能が付いています。装備や価格のバランスが良いVXがオススメのグレードです。

ZX(ガソリン車)(ブラック)<オプション装着車>

ZX(ガソリン車)(ブラック)<オプション装着車>

ランドクルーザー200もそうだったのように、ランドクルーザー300も高い人気を誇るため、リーセルバリューも高くなります。手放す際のことを考えると、人気グレードを狙うのが正解と言えるでしょう。

現在4年待ちという情報も

(2022年2月編集部追記)
新型ランドクルーザー(ランクル300)ですが、発表前より人気が非常に高いことに加えて、コロナウイルス感染症による自動車部品の生産の遅れや、半導体の供給不足の影響を受け、車両の生産が追いつかないことが予想されていました。2021年8月の発表、ディーラーへの問い合わせが殺到し、受注をしても納車までかなりの期間が必要であることが判明しています。

2022年2月現在、納車までの待ち時間はさらに伸びて、なんと4年に及ぶとのこと。一部のスーパースポーツでも4年という数字は聞いたことがなく、ランクル300の圧倒的な人気の高さを実感するとともに、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱がさまざまなところに影響を及ぼしており、その対応に各自動車メーカーが苦慮していることが伺えます。

執筆者

萩原 文博(はぎはら ふみひろ)
中古車専門誌とチューニング雑誌をバイブルとして日々妄想に明け暮れた高校生時代を経て、大学在学中に某中古車専門誌編集部のアルバイトをきっかけに自動車業界デビュー。2006年からフリーランスとなる。新車の撮影・試乗から中古車相場をチェックし、新旧問わないクルマのバイヤーズガイドを得意とする自動車ライター。

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