【専門店が徹底解説】アメリカン4WDのレジェンド、JEEPラングラーTJ、JKの魅力とは?
JEEPラングラーの魅力を中古車の中心であるTJ、JKに絞って紹介
ジープ・ラングラーは米フィアットクライスラー社が展開するジープ・ブランドのルーツにしてそのシンボル的存在です。ラングラーという名前は1987年に発売されたラングラーYJで初めて与えられましたが、コンパクトで幌仕様もあるオープンボディとしたいわゆる“ジープ”スタイルが生まれたのは第二次世界大戦の最中でした。ジープは戦後生まれのランドクルーザーより10年も早い、1941年にミリタリー4WDとして誕生しています。そして時代は流れ、ミリタリージープは一般ユーザーのためのジープ・ラングラーとなり、余暇を楽しむレジャーカーとして、あるいはオフロードを楽しむファンカーとして、今では広く世界のファンに愛されています。では、ラングラーの魅力とは一体何なのでしょうか。それをひと言で表すなら「ラングラーが持っているラングラーにしかない個性」、すなわち唯一無二のオリジナリティとなるでしょう。ラングラーは自由の国アメリカで生まれた遊びの道具であり、遊びのための移動手段であり、ひいては遊びというイメージをまとった実用車なのです。ラングラーに魅せられたファンは、そんな遊び心のあるクルマづくりに共鳴してたちまちとりことなり、ユーザーとなってからはラングラーの熱心な信者になっています。ここではそんなラングラーのうち、中古車市場で多く流通している現行モデルのラングラーJKと、今も多くのファンに愛され続けている一世代前のラングラーTJに共通する部分で様々な魅力を探っていきます。
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年式 2021年走行距離 7.7万km修復歴 なし車検 R8年01月色 ブラック
オープンベースのボディスタイルなどオリジナリティ溢れるJEEPラングラー
ラングラー最大の特徴はそのスタイルにあります。前方に向けてすぼまるボンネット(エンジンルーム)、そのおかげでボディから独立して横に張り出すフロントフェンダー、7本の太い縦スロットに丸目のフロントグリル、平板で切り立ったフロントウインドー、ヒンジが外にむき出しのドア、そして脱着可能な幌や樹脂ルーフなど。21世紀の現代、世界中を見渡してもこんな特異なスタイルは他にありません。クラシックカーとも呼ばれる戦前のクルマと同じように、フロントタイヤがボディから張り出し、ボンネットの下にはエンジンしかないラングラー。平板なフロントウインドーやヒンジが外付きのドアはオープンスタイルを実現するための仕様、またはその名残です。たとえばラングラーTJのフロントウインドーに注目してください。根元の部分にヒンジがありますが、これは幌や樹脂ルーフを外した上でフロントウインドーを前方に倒すためのもの。さらにドアのヒンジがむき出しになっているのは、ドアを簡単に脱着できるようにするためのもの。幌をたたみ(ルーフを外し)、ドアを取り去り、フロントウインドーを前方に倒すと完全なオープンスタイルができ上がります。現代のラングラーは乗員保護のためにロールケージが付きますが、フルオープンにできるのはとりもなおさずラングラーがミリタリー4WDをルーツとしているから。屋根とドアを外せば兵員の乗り降りや武器や物資の積み下ろしが素早くできますし、フロントウインドーを倒せば乗ったまま前方の敵に銃を向けられます。フルオープンにすれば車高が低くなって目立たなくなり、敵に見つかりにくくもなります。さらにスペアタイヤの背面装備は、戦地でパンクした際に手早く交換できるようにとの理由が有力です。これにはさらに、戦地で万一転倒してもスペアタイヤがロールバーの代わりとなって乗員を守るというメリットも。現代社会ではフルオープンでの走行は法規上できません。しかし、ラングラーTJでは少々手間がかかるものの、フルオープンにするのはユーザーでも可能です。実際、アメリカのジープ愛好家らが開催するオフロード走行イベントでは、ファンの多くがフルオープンにして走りを楽しむ姿が見られます。21世紀のジープとなったラングラーJKでは安全への配慮でフロントフインドーを倒すことができなくなっていますが、幌をたたむ(ルーフを外す)だけでも十分にラングラーの魅力を堪能できるのです。
現代のJEEPラングラーはミリタリー時代より悪路走破性が高い
類い稀なオフロード走破性能の高さもラングラーの大きな魅力です。もともと道なき道を進み、障害物を乗り越えて戦地を移動するためにジープに与えられた性能ですが、現代のラングラーはミリタリー時代よりもはるかに高い能力を得ています。ミリタリージープ時代のオフロード走破性能は主に、シンプルな構造の4WDシステムを備え、コンパクトで軽量なボディとしたことで発揮されました。小さくて軽いことはオフロードを走る上での最大のアドバンテージです。オフロード愛好家なら、大きなランドクルーザーでは乗り越えられない山の斜面をジムニーが易々と登ってしまう姿を見かけたことがあるでしょう。しかしジムニーはエンジンが小さく、絶対的なパワーやトルクではランドクルーザーをはじめ他の4WDにかないません。パワーやトルクは大きいけど大きくて重い、小さくて軽いけどパワーやトルクはない。その両者のいいところを備えたのがラングラーです。オフロードを走るのにとても都合がよく、オンロードではスポーティなクルマにも負けない。さらに作り手の遊び心が満載で、手軽にオープンエアドライブも楽しめてしまう。もちろんこんな楽しい4WDをカスタムメーカーが黙って見ているはずはなく、カスタムパーツはとにかく豊富です。その上でラングラーJKやラングラーTJには現代のジープにふさわしい新しい技術が盛り込まれているワケです。こうした4WDの天才とも言える数々の素晴らしい性能・性質こそが多くのファンを惹きつけてやまないラングラーの魅力ですね。
JEEPラングラーは2代目TJから大幅な進化を遂げました
ラングラーTJは1996年から2007年までのおよそ10年間にわたって新車販売されていた2代目ラングラーです。その歴史やスペック、バリエーション等の詳細は以下の関連記事を参照していただくとして、ラングラーTJの魅力について紹介しましょう。長きにわたるジープの歴史の中で、ラングラーTJは古き良きミリタリー時代からのオープンジープらしさに回帰したジープと言えます。スタイルやユーティリティ面でミリタリージープから良くも悪くも脱皮できなかったラングラー以前のジープがCJです。ジープCJはミリタリー色を好むユーザーには好評でしたが、乗り心地や民間用としての実用性は今ひとつ。しかしながら丸目の愛嬌あるマスクや遊びの道具としての魅力がありました。後に登場したラングラーYJは実用性は改善されたものの、ミリタリー色を払拭しすぎてマスクが角目になりオフロード性能が大幅に削がれました。乗用車のオープンスポーツを見習ってスマートに見せようとしたスタイルは多くのジープファンの失笑を買いました。このスタイルが好きだというファンは今は増えましたが、そんなラングラーYJのジープらしくないとも言えるスタイルや性能から脱皮し原点回帰しつつ、現代のジープにふさわしい性能を得たのがラングラーTJです。マスクは丸目に戻り、サスペンションはコイルスプリング化して乗り心地と高いオフロード性能を両立。幌は脱着が容易にできるようになり耐久性も高まりました。ボディサイズはラングラーYJとほとんど変わらなかったのでユーティリティ面では大きな進化はありませんでしたが、使い勝手は格段に改善されたのでした。
SUVとしての新境地を拓いたJEEPラングラーJK
ラングラーJKはラングラーTJの後継として2007年に誕生した3代目ラングラーです。エンジン、シャシー、ボディのすべてが一新されました。どのように変わったのかというと、わずかに大型化し、2ドアのショートモデルに加えて新たに4ドアのロングモデルとなるアンリミテッドが追加、ルーフが脱着式の樹脂製に変わり、そして電子制御化が進んでオフロード走行を支援するデバイスが多数採用されました。室内ではジープならではのワイルドさを残しながらも高級・高品質化が図られ、ボディの大型化によって2ドア車でも空間に余裕が生まれています。こうした進化が意味するのは「ジープのSUV化」です。シンプルでコンパクトな遊び道具だったTJまでのラングラーは、北米市場では一家のセカンドカーやサードカーとした位置づけでした。良くも悪くもショートドライブのレジャー用、つまり遊び用のクルマだったわけですが、ラングラーJKは大型化&4ドア車追加で一家のファーストカーにもなり得る素質が与えられました。大型化と聞くとオフロードが走りづらくなったのでは?と思うかもしれませんが、むしろパフォーマンス性はオフロードに加えてオンロードでも格段に向上しています。トレッド(左右タイヤ間の寸法)の拡大等によって乗り心地がグッと快適なものになり、オフロードでのサスペンションの動きがよりダイナミックになるとともにオンロードでの操縦安定性も大幅にアップ。新開発のV6ガソリンエンジンは低速回転時の充実したトルク特性を持ちながら伸びのある加速が可能に。極めつけは、電子制御式スロットルコントロール(ETC)システムやヒルスタートアシスト(HAS)&ヒルディセントコントロール(HDC)など、ラングラー史上初となる電子制御デバイスの大量採用がありました。もちろんジープらしいオープンエア走行の性質はまったく変わることなく、フリーダムトップと呼ばれる3ピースモジュラーハードトップによって手軽に可能となっています。この脱着式樹脂製ルーフは幌などより格段に遮音性が高く、走行中の騒音はあまり気になりません。2ドアでは4人が、4ドアのアンリミテッドでは5人がそれぞれゆったりと乗車できるようになり、荷台の拡大でファミリーでのロングドライブも守備範囲となりました。ジープのシンボルであるラングラーのラングラーらしい走りにいっそう磨きがかかるとともに、SUVとして十分なユーティリティ性を備えたラングラー。それがラングラーJKなのです。
ランドクルーザー以上にカスタムパーツの豊富なのが魅力のジープ
ラングラーの魅力はクルマ自体のものばかりではありません。TJもJKもラングラーはカスタムすることでさらに充実度が増します。ラングラーを含めてジープやクライスラー車のカスタム文化を主導しているのはメーカーであるフィアットクライスラー社カスタム部門のモパー(Mopar)。これに加えて同社ではカスタムを生業とする数々のサードパーティとのフレンドシップによって、新型車の発売と同時に様々なカスタム車やカスタムパーツを世に出します。最初から「好きな人はこれでカスタムしてくださいね」と言って新車を販売しているわけですが、こうしたカスタム文化が日本のカスタムファンを奮い立たせています。ラングラーカスタムの基本は一にも二にもリフトアップスタイルです。こうした傾向はランドクルーザーと似ていますが、ラングラーのリフトアップスタイルはオフロード走破性能の向上が大前提。ほとんどのカスタムはサスペンションのストロークを拡大し、ちょっとファット気味の大径タイヤを履かせます。タイヤのサイズによってはフロントフェンダーをワイドなものに変えたり、リアフェンダーも大きくしたりします。タイヤはオフロードで路面をガッチリつかむためにマッド系が選ばれることがほとんど。少々のハイリフトならカスタムはここまでですが、さらにリフトアップ量を上げたりしてオフロード性能を高める場合は、サスペンションに加えてギア比を落として駆動力アップを狙う高次元のカスタム領域に入ります。その手段はトランスミッションのギアを組み替えたり、デフギアをさらにヘビーデューティなパーツに交換したりするという手法です。タイヤを大径にするとトータルのギア比が高速型になってトルクが減るのをカバーするというわけですね。ランドクルーザーやジムニーにもこうしたカスタムパーツが存在しますが、ラングラーではアメリカ製のカスタムパーツが星の数ほどもあり、その充実度は日本製の比ではありません。深遠なるカスタムの世界が途方もなく広がっていることこそ、ラングラーの一番の魅力と言えるかもしれません。
安価なOEMパーツがあるのでジープはメンテナンス費用がリーズナブル
ラングラーはもちろんアメリカ車です。アメリカ車は色々と不安だ、と思う4WDファンは少なくありません。それは、壊れやすいんじゃないか? 燃費が悪いんじゃないか? 消耗パーツやカスタムパーツが高価じゃないか? さらには、車検など整備費用がかさむんじゃないか? …といったところでしょう。でも、それほど心配しなくて大丈夫です。ラングラーTJやJKを含め、今やジープシリーズの品質や完成度の高さはランドクルーザーなどメイドインジャパンとほとんど変わりません。20世紀の終わり頃からアメリカ車は進化のスピードが急激に増しています。燃費については人によって感覚や基準が異なるため的確な表現は難しいのですが、排気量相応と考えると納得できるでしょう。アメリカの自動車にまつわる燃費規制も厳しくなっていますから、同排気量、同クラスの日本車に比べてことさら悪いということはありません。ラングラーは排気量やボディサイズでFJクルーザーやランドクルーザープラド150のV6ガソリン車あたりに相当しますが、実用燃費は同等レベルです。そしてパーツの価格ですが、ユーザーなら必ず交換が必要となる消耗パーツは種類によって高いものがあれば安いものもあります。中古車を購入してランニングコストを抑えたいユーザーには、純正パーツと同等でありながら安価なOEM品を選べば整備費用はふくらみません。アメリカの自動車業界ではサードパーティによるOEMパーツが数多く流通しています。これはユーザー自身によるカーメンテナンスが盛んなアメリカの世相を反映してのこと。FLEXでも純正部品以外にそうしたOEMパーツも手配可能です。そのため維持コストについてはあまり神経質になる必要はありません。カスタムパーツは日本のものとアメリカ製の輸入ものとでは少々状況が変わり、どうしても輸入パーツの方が割高に感じるかもしれません。しかしながら、FLEXでは輸入パーツでカスタムされたラングラーを数多く扱っていますから、最初からそうしたラングラーを購入すれば割安ですね。いずれにせよ、ラングラーはアメリカ車だから何かと維持費がかかる、ということはありません。ランドクルーザーやFJクルーザーを選ぶのと同じ感覚でお気に入りを見つけましょう。
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