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車買取で査定前に傷の修理はすべき? キレイにしたほうが高くなるの?

車買取のポイント|

  • 投稿日:2023/5/22
  • 更新日:2023/5/22
車買取の査定前に車体の傷は修理すべき?

車を乗り換えるときに買取サービスを利用する人が増えています。乗っている車を査定して、売却する値段を決める際に、車に傷があると査定額が落ちる可能性が高くなります。では、査定前にその傷を修理してから査定を受けたほうがいいのでしょうか?

車の傷は修理せずに査定へ出すのが正解

結論からお伝えすると、車買取で査定をする前に車の傷を修理するのはオススメできません。傷の程度によりますが、小さいものは査定額に影響しないことが多く、大きな傷は修理代金の方が減額される差額よりも高くなることが多いからです。

多少の傷は減額されない方が多い

軽めの傷であれば査定額には影響しないので、修理する必要はありません。修理には当然お金が掛かりますが、影響しないのであれば、修理するだけマイナスということになります。

愛着がある車だからキレイにしてから手放したい。という気持ちも十分に理解できます。しかしコスト面を考えると、修理はせずに洗車程度に留めて査定を受ける方がいいでしょう。

大きな傷の修理費用は減額分で相殺できない

車体の傷の修理見積もり

車に大きな傷がある場合は、査定で減額されることになります。車のボディの修理では、塗装や板金という作業が必要になりますが、これが減額の要因となります。買い取った車を中古車として販売するときに、業者側が修理する必要があるからです。

飛び石などで塗装面が少し剥げてしまったような場合は、タッチアップ等で補修する方法があります。これならばオーナー自身で行うことができます。しかし、ボディが凹んでいたり塗装に大きなダメージがあるとプロである板金業者による修理が必要です。

修理費用>車の大きな傷による減額

減額されるのならば、修理すべきでは? と考えるのは当たり前です。しかし、修理に掛かる費用と比べると、査定で減額される額は大きくないというのが実情のようです。

査定とはどこをチェックする?

傷の大きさによって査定額に影響がある

車買取で査定を行う査定士

車買取では、傷の大きさや程度によって減点が行われ、査定額が減額されることになりますが、実際の目安はどれくらいでしょうか? 傷の程度と大きさによってマイナス査定になるかどうかが決まります。

大きさは、次の3段階で分けられています。

1.カードサイズ(〜9cm)

2.A4サイズ以内(〜30cm)

3.それ以上(30cm〜)

磨けば消える線傷の場合

車の塗装はいくつかの層になっています。一般的に塗装の一番上の層にはクリアが塗られており、下に塗られた色の面を保護したり、より発色をよくする役割を担っています。クリアは比較的硬い塗膜を持っていますが、擦り傷などがある場合があります。ドアハンドルの周辺などに線傷があるのを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。あの傷は、主にドアの開閉をするときに爪などで引っ掻いて残った痕なのです。その他の場所にも、気が付かないうちに薄く細い線のような跡が残っていたりします。

しかし、この手の傷は、査定にはほとんど影響しません。磨けば落とすことができることが多いため、中古車店で販売時に商品車として仕上げる段階で修正できるという判断です。

もちろん、愛車を手放すならキレイな姿で。という人や、時間のある人は、全体の印象をよくするという観点で自分で磨いてみてもいいでしょう。

凹みのない浅い傷の場合

1cm未満の傷や、凹みのない傷はどうでしょうか? 先に紹介した線傷と同様に、こちらも減点されることはありません。板金の必要がない軽微な傷は、販売店レベルで補修が可能なため、査定額に影響を及ぼさないのが一般的です。ただし、この手の傷があまりにも多い場合は、総合的に判断して減点される可能性があるということを覚えておきましょう。

塗装面のみの傷の場合

車買取で査定するときの車の傷

傷が塗装面のみで、ボディの金属面に至っていないこともあります。凹みがなく板金が必要ない場合は、大きさに応じて減額になりますが、A4サイズ以下であれば1〜2万円程度、それ以上であれば4万円程度になることが多いようです。もちろんこれは1箇所ごとの金額なので、複数の場所に傷がある場合は、その分減額されていくことになります。

板金が必要なほど深い傷の場合

車買取の査定で減額となる凹みのある傷

では、板金が必要になるほど深い傷の場合はどうでしょうか?A4サイズ以内でおおよそ1万5000円〜5万円程度、それ以上では8万円〜と考えておけばいいでしょう。またボディパネルの半分以上に傷がある場合は、パネルごと交換するということも考えられますので、最大20万円程度は減額されてもおかしくはありません。

この手の傷は減点のポイントが大きいので修理をしたくなるかもしれませんが、個人で板金修理を依頼した場合、減額分よりも高くなってしまう可能性があります。

修復歴のある車の場合

事故などで車を修理すると、場所や程度によって修復歴がつくことがあります。

修復歴とは? 事故車とは違うの?

車の骨格部位に受けた損傷を修理した場合に「修復歴あり」となります。骨格部位とは、文字通り車の骨組みにあたる部分のことで、溶接で接合されている箇所を指します。

車の骨格部位

◯フレーム ◯クロスメンバー ◯インサイドパネル ◯ピラー ◯ダッシュパネル ◯ルーフパネル ◯フロア ◯トランクフロア

上記8つに該当する部分は、車の重要な部分であり、しかも外からは見えない、または見えにくい場所です。

ちなみに自動車の査定において事故車という定義はなく、修復歴のみが使われます。なお、事故等でバンパーやドアパネルが損傷して修理や交換をしたとしても、骨格部位に触らなければ修復歴にはなりません。

修復歴ありの場合はどの程度減額されるのか?

では修復歴ありとなしの車ではどれくらいの差が出るのでしょうか? 同じ年式、同じ走行距離、グレードや仕様なども同じだとすると、修復歴ありの場合は15〜50%程度低く査定されるようです。一般的には車両本体価格が高い車ほど減額される幅が大きいとされていて、ハイクラスの車でも修復歴ありでは二束三文になってしまうということもあります。

修復歴は申告しなくてもバレない?

車買取の査定風景

そんなに減額されてしまうなら、言わないで黙っていればいいのでは? 見えない、または見えにくい場所だから、修復歴があったとしてもバレないのでは? と考えてしまう人もいるかもしれません。

その気持ちは理解できます。例えば、新車時に1000万円で購入した車が事故に遭って修理した。乗り換えようと思って査定したら、修復歴ありで400万円と言われてしまった。

このようなケースはよく耳にしますが、申告しなくても査定のプロは修復したことをほぼ見抜きます。一見するとキレイに修理が終わっていても、専門家は痕跡を見つけることができるようです。プロの目はごまかせないと思っていた方がいいでしょう。

万一査定時にバレなかったとしても、引き渡し後に発覚した際には減額されて、返金を要求されることがありますし、実際の金額よりも多く減らされる可能性もあります。さらに買取自体を拒否されることも考えられますので、正直に修復歴は申告をしましょう。

修理したけど、修復歴ありの状態に該当するかわからないという場合は、修理したことを伝え、査定の担当者に調べてもらいましょう。

買取業者的には

板金が必要か否かで、査定額は変わってくるということになります。板金は、塗装面を削り、金属部分の凹みを修正し、再度塗装を施すという工程になります。修理した部分とそうでない部分の境目がわからないようにぼかし塗装を行ったり、場合によってはパネル全面を塗り直すなど、工程の数が多くなります。

何層も異なる塗料を吹き付けているなど、塗装にこだわりのある車種も多く、必然的に板金塗装に掛かる費用は上がっていきます。

買取業者は、グループ内に板金塗装を行う会社を持っていたり、外注で契約を結んでいることもあり、個人が板金修理を依頼するよりも割安で修理を行うことがほとんどです。

オーナー側が売る前に修理すると結果として赤字になることも

車の価値が下がるDIYの修理

例えば、5cm程度の傷で凹みがない状況でも、業者に出すと4〜5万円程度は請求されます。修理代と査定で減額される金額を比較すると、修理代>査定減額分となり、修理に出す方がお金がかかることになります。

では自分で修理するDIYではどうでしょうか? ネットなどで「自家塗装」や「自分で車の傷を修理してみた」という記事や動画を目にすることもあります。それほど難しくなさそうだから自分でやってみようかな。お金も掛からないし。と思うかもしれませんが、オススメはしません。プロのクオリティには当然及びませんし、逆に状態が悪化することも考えられます。手を加えてしまった結果、マイナス査定の要因が増えてしまっては本末転倒というわけです。

査定前に修理した方がいい場合もある

実は、査定前に修理した方がいい場合が2つあります。

1つ目は、もらい事故の場合です。事故の過失割合で自分がゼロに対して相手が10だった場合、相手の保険ですべて修理が行われます。この場合は、自分の支出がないため、結果的に修理したほうがプラスになることがあります。

しかし、骨格部分が損傷して補修歴が付くと、大幅な減額は避けられません。

2つ目は、メーカー保証などが使える場合です。主に故障やリコールなどが当てはまりますが、無償で修理が行えるのであれば、実施することをオススメします。ただし、修理完了のタイミング次第で年式が落ちてしまう、車検が切れてしまうなど、査定に影響が出る場合は、その限りではありません。

いずれにしても、自分で支払うことなく車両価値が取り戻せるのであれば、修理を行うのがいいでしょう。

査定後、引渡し前に傷をつけてしまったら?

査定が無事に終了して査定額が提示され、納得のいく金額ならば契約成立となりますが、引き渡しまでの間に車が傷ついてしまった場合はどうなるでしょう?

残念ながら査定額は減額されることになります。査定額はあくまでも査定を行ったときの車の状態で判断しているため、そこから価値が低下してしまうと査定額も下がることになります。

万一傷が増えてしまったり、故障してしまった場合は、すぐに買取店に連絡を入れるようにしましょう。

査定時に傷を気にする必要はない

車買取の査定

純正状態が基本とされるのが車の査定です。そこから傷が付くと、当然価値が下がるので、査定額が減額されます。傷の程度によって減額幅には上下が出ますが、軽微な傷は発見しても無視されるのが一般的です。もちろん見落としているわけではなく、わかっていて見逃している、つまり査定額に反映しないというわけです。

また、査定前に自分で業者に依頼して修理することはオススメできません。プロの手によってキレイに修理されたとしても、査定による減額分よりも修理費用が上回ることが多く、相殺できません。さらに修理に時間が掛かって売り時を逃してしまうということも考えられます。

ましてや、「費用を圧縮できるからDIYで修理する」ということも避けるべきです。車の板金や塗装を生業にしているというならばともかく、プロの腕よりも仕上がりがよくなることはなく、むしろ価値を下げてしまう可能性の方があるわけです。

車買取で査定を受ける場合、車体に傷があったとしても修理はせず、現状のままで依頼を受けるのが正解です。確かに車買取の査定額はとても気になるポイントですが、乗り換えに掛かる金額を総額で考えて、どのようにしたらオトクなのかを判断しましょう。

執筆者

熊崎 圭輔(くまさき けいすけ)
元輸入車カスタム雑誌の編集長。ドイツ語圏を中心にレンタカーで走り回った旅好き。その後MOTAに移籍。副編集長として、新型車をはじめクルマに関する記事制作に従事。国内外を問わずドレスアップやチューニングにまつわる取材経験から、MOTAカスタムの記事展開にも寄与。純正もいいが、カスタムすれば自分のクルマに対してさらに愛着が湧き、人とは違う個性的なクルマにすることで、人生がもっと楽しくなると考えている。

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