源流師の技満載! 荒天に負けないタープワーク、おすすめの火起こし道具と着火方法をご紹介!
知っていたらカッコ良いし、役に立つこと間違いなし! Vol.6でご紹介した「もやい結び」に続き、タープを張るのに適したロープワークを野営の達人、金田さんが教えてくれちゃいます! さらに、おすすめの火起こし方法も。キャンプでの火起こしって、時間がかかって大変なイメージがあったのですが、「あれ」が火起こし道具として使えるなんて……! どちらも簡単なのでちゃんと覚えて、誰かと一緒にキャンプするときに披露し、サバイバル能力の高さをさりげなくアピールしましょう。(by リノカジャーナル編集部)
春がもうすぐそこまで来ているので、タープの話を
話は変わるが、もうすぐ春が訪れる。
季節の移り変わりに合わせて、私の遊びフィールドも変わっていく。雪の日よりも雨の日が増えるにつれて、雪を求めて日本中を走り回るロードトリップから、山菜狩りや岩魚釣りなど、生き物と戯れるロードトリップに変化する。ハイエースに積んでいる冬の遊び道具や防寒装備はメンテナンスに入り、代わりにキャンプ道具が増えるのだ。
キャンプの魅力はなにか? と問われれば、「解放感」だと答えるだろう。不自由な野宿を心ゆくまで満喫することがキャンプの本当の楽しみ方だと考えている。
その解放感を最大限に楽しむための道具は、タープだ。
私が源流を旅する時は、周りの状況が見えないテントは使わず、タープのみで幕営地を作ることが多い。突然の豪雨や強風、時には台風に見舞われる時もあるが、仲間と共にタープの下で身を寄せ合い晴天を待つというのも楽しいものである。ただ、それには荒天に負けないタープ設営技術をもっていることが大前提となるのだ。
今回は、Vol.6で紹介したロープワークを使ったタープワークについて説明してみようと思う。
荒天に負けないタープワークとは
結論から先に言うと「大黒柱が重要」だ。家も船もその構造の根本を支えるための大黒柱的な1本があり、その他の柱などは快適な空間を作るためのオプション的役割だと考えている。
タープの設営でもっとも大切なことは、如何に強固な大黒柱を作るかだ。それを写真と共に説明してみたいと思う。
根がしっかりした木が2本立っていれば最高の大黒柱が作れる。タープで言う大黒柱とは、センターラインのことだと覚えてほしい。
写真のように、タープの長辺のセンターラインを1本のロープに見立てて両側を直線的に引っ張ることで、タープが宙に浮いている状態を作り出すことができる。この直線的な大黒柱が作れれば、タープの設営はほぼ完成していると言える。
木がなければポールとペグを使って立ち上げることになるが、タープのセンターラインとロープで大黒柱を作ってタープを宙に浮かせる考え方は同じだ。
2本ある支点の内、1本は『もやい結び』で
木にロープを結ぶ際には、Vol.6で紹介した結びの王様『もやい結び』を使う。マスターすればとても簡単に結ぶことができ、解く作業も容易にできるのが『もやい結び』の最大の利点である。2本ある支点の内、1本は『もやい結び』で固定してしまった方が楽だ。
もう一方は『自在結び』を
大黒柱のもう一方には『自在結び』というロープワークを利用してみよう。大黒柱は緩みなくテンションをかけたいので、引っ張り込みながらロープを固定できる『自在結び』が便利だ。『自在結び』のやり方は後述するとして、先にタープの完成まで説明する。 タープのセンターラインを両側で引っ張り込むことができれば、タープは宙に浮いた状態になっているはずだ。タープの高さ調節はこの時点で行うとよい。
最後にペグダウンする
大黒柱が完成したら後はタープの羽を広げるだけなので、タープの角をロープで引っ張りながらペグダウンする。すでに大黒柱がタープを支えているので、羽のテンションはそこそこでよい。逆に引っ張りすぎると中心がズレたりするので状態を見ながら整えればいい。
支点になるような木や岩を見つけよう
丁度良い場所に支点になるような木や岩があれば、積極的に利用するようにしよう。結びは『もやい結び』でも構わないが、Vol.6で紹介した『巻き結び』が使える。
タープが完成!
これが完成したタープの基本的な姿だ。森の中で設営したタープは、風に揺られて宙に浮かぶ美しいフォルムを維持する。もしポールや手ごろな木があれば、タープとロープが結ばれている箇所で持ち上げれば、生活空間を広げることができる。
『自在結び』を覚えよう
ロープを引っ張ることで交差したポイントに力がかかるようにする『いわし結び』というのがある。下の写真が『いわし結び』の状態で、手元のロープを引っ張っている状態なら結び目のポイントが力点となって緩みにくい。この原理を利用したのが『自在結び』だ。
『いわし結び』を3回ほど繰り返せば『自在結び』に
『いわし結び』を連続させることで、先に結んである『いわし結び』のテンションを維持することが可能になり、軸のロープを引き込むことで『自在』となる。下の写真が『自在』の状態。余ったロープは緩みがないように簡単に結んでおけばよい。
車内に常備したい火付け道具
タープが完成したなら次は火起こしだ。着火剤があれば簡単に火起こしができるが、いつも着火剤を持っているとは限らない。そこで着火剤の役割を担う代用品を利用する。
要は「よく燃えて消えにくい」という材料であれば何でもいいわけだが、せっかくなので持ち運びに合理性を求めたい。
私のおすすめは、ガムテープだ。石油由来の接着剤がたっぷり滲み込んだ布ガムテープがよい。火を付けてみればわかるが、液状に燃えながら消えにくく、火力も維持する。この布ガムテープを100円ライターにクルクルと巻いておけば、火と着火剤がひとつにまとまるというわけだ。
季節に合わせた遊びで車中泊を楽しもう
どこでも快適空間が演出できる厳選した道具が積んである車中泊仕様のクルマがあるだけで、遊びのフィールドは大きく広がる。そして日本には四季があるので、お気に入りのフィールドに何度通っても飽きることがない。
不自由を自由に楽しめる心の余裕と技術を培いながら、その時その瞬間にしか出合えない一期一会の風景を求めて、時間と体力が許す限り遊びつくしてみてほしい。そんな遊びの中から、この素晴らしく美しい自然を次世代に残していくための努力とアイデアが見つかるはずだ。頭でっかちのルールに縛られることなく、外に飛び出して体験することがすべての始まりになると信じている。
今回お世話になった場所
道の駅あらい→ウェブサイトはこちら
〒944-0075 新潟県妙高市大字猪野山58-1
TEL.0255-70-1021
アドバイス:日本海の有名回転寿司『きときと寿し』が敷地内にあって大変重宝するが、20時30分がラストオーダーなので早めに行きたい。もちろんその他にもたくさんのお店があるので、その日の気分で選べる。そして同じ敷地内にある『すき家』は、朝定食でお世話になるのがツウな行動パターンだ。