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2019.2.4

リノカのかわいいフェイスキット、あるいはその背後に隠された闘いの歴史

リノカのかわいいフェイスキット、あるいはその背後に隠された闘いの歴史

2019.2.4

Essay

スチールボンネット

今ではおなじみ、リノカのフェイスキット。
かわいくて、クール。懐かしくて、新しい。ランクルやハイエースを変身させてくれる、一言では言い尽くせない魅惑のリノベーション・パーツです。
このフェイスチェンジ、最初にはじめたのはランクル80をベースにした「ワンダー」というモデルでした。
60っぽい顔にしたらよくなくない? そんなちょっとした思いつきから、けっこうハードな試行錯誤を繰り返したあかつきに完成したのがこのワンダー。
リノカ初号機の誕生です。
そこからランクル95プラドに挑戦し、ハイエース200に挑戦し、ランクル100系に挑戦し、今に至ります。
現在、このフェイスキットですが、実はボンネット部分をスチールでつくっています。
リノカを知らない人に、顔まわりぜんぶつくっていることを説明するとよく驚かれるように、ちょっと自動車に詳しい人にボンネットをスチールでつくっていると言うと、それはそれでびっくりされます。
というのも車のカスタム業界では、ボンネットをつくることはなくはないのですが、基本、FRP(強化繊維プラスチック)でつくるのが普通なんです。
リノカも通例にならい当初、FRPでつくりはじめました。でも、より良いものづくりを目指し続けるのがリノカの基本姿勢。
専門家を招聘し、非破壊検査、走行テスト(4,500km! すごく大変だった!)を繰り返したのち、より高強度で、より出来上がりに個体差のない製品を提供すべく、スチールで生産することに。
なので、某自動車メーカーさんのボンネットを実際につくってる工場で、型からおこしてがっつり生産しています。
一般的に、スチールではなくFRPでつくることが多いのは、やっぱり生産コストの問題があるから。正直なところ、スチールに舵を切るのは採算度外視の、そこそこ覚悟がいる行為でした。なのでチーム内でも喧々諤々。考えとして正しいとしても、経営的観点からするとリスクが大きすぎるのでは? それでも、良いものをつくらなければ、リノカをやる意味がない!
長い議論のすえ、リノカが持ち続けるべき哲学にのっとった判断を下し、そして実行できたことを、我がことながらこれでもかというぐらいに胸を張って、今日もぼくらはリノカをつくっています。