【Vol.96】大切にしたい３ヶ条

Expedition Canadaは、EAST WINDメンバーとして初めて参戦するレース。Team EAST WINDは、アドベンチャーレースを始めた時から、私がずっと憧れていたチームです。自分が選手として参加させて頂けることが本当に嬉しくて、『私がチームに貢献できることは、何だろうか？』を考え続けてきた日々でした。 　今回は、Expedition Canadaレースに参戦するに際して私が大切にしてきた3つのことについて、お伝えしたいと思います。

第１条　耳ではなく、心で聴くこと

会話やコミュニケーションをする際には、相手の発した言葉だけでなく、感情や意図を汲み取りたいと思っています。「この人が本当に伝えたいことは、なんだろう」と、その真意を知りたいという気持ちで聴くことが、アドベンチャーレースを始めてから多くなりました。 とてもシンプルな例ですが、口では「いいよ」と言っていても本当はイヤだと思っているかもしれない。あるいは、本当は別のやり方が良いと思っているけど、何かの事情があって「いいよ」と答えているだけなのかもしれない。言葉にするのはエネルギーがいるので、相手は今はそのエネルギーが足りない状況にあるのかもしれない。「いいよ」の一言の裏側には、たくさんの気持ちが含まれています。表情や声のトーン、所作などから、そういった言葉だけでは伝えられない部分を感じとることで、相手の内面にそっと寄り添えたらいいなと、考えています。

第２条　白黒をはっきりつけない時間を愛おしむこと

日常生活では、私たちは多くの決断や判断を下さなければなりません。白黒はっきりとした答えが求められ、迅速な結論を出すことが求められる場面も多いでしょう。レース中も同様で、迅速かつできるだけ的確な決断が必要とされることの連続です。 しかし、時には白黒をはっきりつけずに、グレーの領域に身を置くことは、私にとっては重要な学びや成長の機会となります。疑問を抱いてもあえてそのままにして、心の片隅に置きっぱなしにしておく。そうすることで、新たな視点に気付いたり、別のアプローチからの解決策を見つけたりすることが可能になります。

EAST WINDには様々な個性の人たちが集まっています。価値観も様々なので、議論が平行線になることもあります。「そんな考え方もあるのか！」と知る機会が本当に多いです。新たな視点に気付かされ、再度自分自身の信念や価値観を見つめることで、自己成長や心の豊かさが育まれる機会に恵まれています。この育んだものをチームに還元できるようにしていきたい！ ・・・とは言っても、レース中は即断即決が求められます。白黒はっきりさせて、どんどん前に進むことが必要です。ですので、グレーの領域に身を置くというのは、レース以外の時間でやろう。と決めています。

第３条　1人で考えすぎないこと

カナダのレース前に、私自身が不安に感じていたことがありました。その不安について、田中正人さんとTeamのプロデューサーであるすーさんに、自身の気持ちを話しました。翌日、カナダ出場メンバー3名と田中正人さんとで、緊急ミーティングをし、自身の気持ちを伝えました。正直に言うと、レース直前ということもあり、出場メンバーにわざわざ伝える必要はないと私は考えてました。しかし、結果的には伝えて良かったと今は思っています。 それは、1人で考えていたモヤモヤが、あっという間に晴れていく感じがしたからです。メンバー3名は、私が想像していたよりも温かく、心強い存在でした。自身が受け入れられている感じがして、嬉しくも思いました。4名で共に進み続けるアドベンチャーレース。1人で考え続けるよりも、メンバーを頼って良いのだなぁと、実感する出来事となりました。

これから目指したいもの

『言葉がなくても、わかりあえる瞬間を目指したい。』レース後に、メディアチームで帯同してくれた佐藤佳幸さん（よっちゃん）が話をしてくれました。アドベンチャーレースでは、言葉がなくても目でわかりあえる瞬間がある。選手の時には、その状況を目指していた、と話されていました。とても素敵な考え方だと思います。 1人ひとりの小さな心の動きをそれぞれが感じながら、ぐいぐいとポジティブに、淡々と着実に、一歩ずつ前に進んでいくチーム。素敵だと思います。この考え方は、レースだけでなく、豊かな人間関係を築いていく上でも大切なことだと思います。そんな心地よい瞬間を目指したいですし、大事に育んでいきたいです。

自分らしく生きるための選択

『宇宙兄弟』という漫画をご存じでしょうか。とてもシンプルに説明すると、宇宙飛行士を目指して奮闘する兄弟のお話です。この漫画に登場する金子シャロンさんは、幼い六太（主人公）に対してこう言います。「迷ったときはね、どっちが正しいかなんて考えちゃダメ。どっちが楽しいかで決めなさい。」とても素敵な言葉です。 人生は選択の連続です。何かを選ぶとき、どうしても「どっちが正しいか」で迷ってしまうときもあります。でも、実際にはどちらが正しかったかなんて、選んでからでないとわかりません。一方で、シャロンさんの言う「どっちが楽しいか」は、自分の気持ちで選択することです。自分の心に素直に、自分らしく生きるための選択をしていきたい。カナダから帰国後の今、そのように感じています。