困難を楽しんでみる
ゲリラ豪雨が日本各地を襲う。道路冠水、大粒のヒョウ、雷鳴の轟、防風。みなかみ町も例外ではない。
先日、部活動を終えた中学二年の娘は土砂降りの中、どうにか自転車で駅まで行ったものの、電車がストップ。復旧の見通しがついておらず、駅は人でごった返していた(自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅までは約一時間弱。さらに学校までの約3㎞を自転車で通学中。)。
湿気で蒸し風呂のような暑さの中、娘は一緒に通学している友達と一緒に「いつ上越線が動くか」を訊きにみどりの窓口に行くと、駅員さんがひとりで押し寄せる人々の対応をしていたそうだ。
「申し訳ありません! 復旧の目途がついていません!」と応える駅員さんに、娘と友達は思わず「がんばってください!!」と声を掛けてきたそうだ。
何しに窓口に行ったんだか……(笑)。
動かないものは仕方ない。
中には草津温泉まで帰る子もいる。
二人は、徐々に駅に集まる同線組の後輩たちに「どこまで? まだ止まってるから一緒にいよう」などと声を掛け続けた。
「だって一年生はこんな経験ないから不安だろうし」と娘。
いやいや、あんたもこんな経験ないでしょーが。
駅で待つこと約2時間。車でお迎えに来てくれた友達のお父さんに途中まで乗せてもらい、私もそこまでお迎えに行って無事娘を回収した。
「大変だったね」と声をかけると、「そうでもないよ。むしろ楽しかった!!」とケロっとしている。
どうやら友達と後輩を励ましたり、「このままここでキャンプかな~」と冗談を言い合ったりして困難を楽しんでいたと言う。しかも友達(主に後輩)が増えたという特典付きだった。
いつの間にか子どもは逞しく成長している。
困難は成長のチャンス
アドベンチャーレースは、常に悪天候との戦いだ。
いや、天候だけではない。灼熱地獄、震えが止まらない極寒、ナビゲーションなどまったくできない漆黒の闇、いつ果てるのか見当もつかない藪(ヤブ)。
だが、怒っても、文句を言っても、愚痴をこぼしても、何も変わらない。
「どうせ逃げ場がないんだから、やるしかない」そんな気持ちがチームをひとつにしたこともある。困難に直面した時こそ、精神的成長の機会なのかもしれない。
さて、駅で困難をエンジョイした娘。家に帰ってきたのは午後9時半過ぎとなり、結局は私だけが疲労感たっぷりで、またひとつ老け込むという成長(?)を遂げた。