今日も天気は悪かった…。
シトシトと水面を叩く雨粒が、時間と共に強さを増し、風を呼ぶ…。
チームイーストウインドのメンバー間では、恒例とも言える悪天候の中のトレーニング。
今回も多分に漏れず、寒い悪天候の中でのトレーニングがはじまった。
チームで海へ出かけると、晴れたためしがない。
一部のメンバーからは「キラリンが雨男だ」という偏見と思い込みがあるようだが、僕の予想は違う。
おそらくだが、原因は鬼軍曹とヨネ(米元 瑛)、そして僕という3人の組み合わせなのだ。これが悪天候の条件だと考えている。
なぜかと言うと、この3人で海へ出た時のことを思い出せば出すほど、雪や雨、防風の中で海に浮かんでいるシーンしか思い出せないのだ。
きっと神様は、僕ら(特に鬼軍曹)の心からのニーズに応えるために、毎回試練を与えてくださっているのだと思う。
神様の粋な計らいに今日も感謝しつつ、チームカーに揺られていると、神奈川県葉山町の『カトーカヌーイングスクール』に到着した。
風とパドリングと僕の筋肉
今回のトレーニングは、悪天候を活かした「追い風&向かい風」の中でのパドリングトレーニングだ。
前後に細長い船は、その構造上、推進力は高いが横風に弱い。
横風で船の進路が簡単に傾き始め、一度曲がり始めると行きたい進路への修正にかなりのエネルギーを消費してしまうのだ。
そこで、船があらぬ方向に進んで行かないように、パドリング技術で船をコントロールする必要がある。
腕の力だけではなく、上半身のひねりを利用して大きな力を「しっかりとパドルに伝える」訓練だ。
このしっかりとしたパドリングができると、力の強い大きい筋肉が使えているということになる。細い筋肉の腕だけで船を漕ぐよりも、疲労は圧倒的に軽減される。
数時間もの間船を漕ぎ続けることが多いアドベンチャーレーサーには、必須のパドリング技術なのだ。
積み重ねが大事
シーカヤックを始めたばかりの頃は、上半身のひねりが上手くできなかった。
特に今回と同じような風の強い日は、緊張感が勝ってしまい、知らない内に腕の力だけに頼ってしまう。
肩と肩甲骨まわりの筋肉が悲鳴を上げ、激しい疲労感に襲われるとわかっていても、体の使い方がわからなかったのだ。
それが今回はどうだろう。
今日この日のために特訓をしてきたわけではないが、今までよりも船が安定している実感があった。
パドリング練習を積み重ねてきた経験値もあると思うが、鬼軍曹が切望する悪天候に毎回もまれてきたことが成長を促したのかもしれないと思えた。
そんなことを考えると、心は自然と落ち着き、荒波を楽しむ余裕さえ出てくるから不思議だ。
「何事も積み重ねが大事だ」ということを改めて思い知った貴重な一日だった。
天気の神様、そして鬼軍曹、今後ともよろしくお願いします。と、心の中で呟いてみた。