セイルトレーニング
アドベンチャーレースは地球上のさまざまな自然環境が競技エリアとなるため、その環境に合った多種多様なアウトドアアクティビティが採用される。
アドベンチャーレースというと肉体的な過酷さが注目されがちだが、実際は自然の力を上手く活用できるチームが上位に入る。コースが海上なら、シーカヤックだけでなくセイリングを操作することもある。
今回は、自然の摂理を学び、自然と調和することが、レースを進めるうえでとても大切な事だと、風が教えてくれた。
ヨットを譲り受ける
「ヨット欲しい人いますか?」というアドベンチャーレース仲間からのSNSの書き込みにすぐに飛びついた僕。大阪まで2人乗りディンギーヨットを受け取りに行った。 ヨットなんか車に積めるのかな? と不安になったが、我がチームメンバーのリノカ号にとっては余裕のよっちゃん(死語!?)であった。
琵琶湖でのセイルトレーニング
受け渡す前にレクチャーをしてくれるというので、琵琶湖で2日間のセイルトレーニングをすることになった。
まずは机上講習で、ヨットの仕組みや風との関係、海上での危険と安全などについて学び、そのまま実践に移る。
セイルに風を受けて進むことから、基本的には風下に向かって進むものだが、実は風上方向にもグングン進むことができるのがヨットだ。
というより、風下に進む方がスピードは出ない。なぜかと言うと、風に押されて走るだけだと、ヨットの速度が風速と同じになった時点で無風と同じになってしまうからだ。
では風上方向はどうか?
ここで飛行機が空を飛ぶ『揚力』を思い出してほしい。風を正面から受けたヨットの帆は、飛行機の翼と同じように揚力が発生する。これが風上に向かって進む推進力となるのだ。
逆に風下方向は注意しなければいけないことが多い。
ヨットの向きを変える時、セイルの開きが左右入れ替わるので、ブーム(帆を取り付ける横棒)の位置が右左に入れ代わることになる。風下航行時のセイルの開きの入れ替えをジャイブと言うが、勢いよく動くことがあるためブームパンチ(ブームで頭を打つこと)を喰らいやすいのだ。しかも航行が風下真っ直ぐになると、予測できない不意のジャイブ、つまりワイルドジャイブが起きやすく事故も多くなるそうだ。
今回の実地訓練は、目指す目的地や風が吹いているエリア、風向き、風の強さ、ルート取り、安全と注意事項など、常にいろいろなことを考えながらの練習となった。
Eco-Challenge・Fiji大会
昨年出場した『Eco-Challenge・Fiji』大会でも、海セクションでセイリングがあった。Camakauというフィジーの伝統的な帆掛け舟で島を巡ったが、この時は風をうまく捉えることができずに苦労をした。
「今どこで風が吹いているのか?」「これからどこで風が吹くのか?」「沿岸地形的にはどうか?」
セイルの使い方よりも、それ以前の段階でつまずいていたのだ。
この『Eco-Challenge・Fiji』大会の様子は、8月14日からAmazon PrimeVideoで全10話に渡って配信されるので、本格的なアドベンチャーレースを知るうえでもぜひ見てほしい。