『生きるってなんだろう?』を考える2日間
今年で3回目を迎える『チャレンジフェス』は、田中陽希や僕を含めた冒険家らを支えてくれる人力チャレンジ応援部が主宰している。場所は自然豊かな群馬県みなかみ町。『生きるってなんだろう?』をテーマに、参加者と一緒に考えながら自然の中で生活を共にするというコンセプト。今年は、「水・火・食」にポイントを置いた。
露店や音楽でワイワイする一般的なフェスではなく、自分たちで水をろ過し、火をお越し、煮炊きをし、テントを作る。まさに学びを目的とするアウトドアフェスで、地元の猟師さんによるトークショーや、熊鍋の試食もあった。
今年は南極冒険家の阿部雅龍さん、登山家の竹内洋岳さん、そして僕らイーストウインドもアクティビティに加わり、参加者のみなさんと一緒に学び舎的な2日間を過ごす。
東日本大震災で見た、自然の脅威
2011年の東日本大震災直後に、僕はみなかみ町のアウトドア業者に声をかけ、有志たちの支援隊(みなかみレスキュー&サポートチーム)を結成し、みなかみ町から借りた4tトラックに乗せられるだけの救援物資と飲料水200リットルを積み込んだ。
被災地に到着し、僕らは愕然とした。
自然が牙を剥くとこうもなるのかと。言葉が出なかった。
海に呑まれた後の瓦礫の中で、被災した人たちは僕らの到着をとても喜んでくれた。
自然が牙を剥いた時、信じられるのは人間の生きる力
その瓦礫の中にひとり、おじいちゃんが薪を集めていた。
「昔はみんなこうしていたんだ」
おじいちゃんは、瓦礫で竈を作り、集めた薪で火を起こし、タンクの水を注いでお湯を沸かし始めた。
絶対に事故などあり得ないと作り出された原発は、すごいものなのかもしれない。しかし今、その場で信じられるものは、「絶対に大丈夫」と言われた「すごいもの」ではなく、人が昔から営んできた生活様式、おじいちゃんの生きる力だった。
生きる力を身につけるために
あれから僕らはいくつもの災害に見舞われた。
今年は過去最大級の台風が関東以北に酷い爪痕を残した。
「絶対に大丈夫」などというものはない。だから僕ら人間が、もしもの場合に対応できる力を身につけておくことが大切だ。
今後もチャレンジフェスは『生きるって何だろう?』をコンセプトに、生きる力をみんなで一緒に学んでいきたいと思う。