リノカアドベンチャー、はじめます!
みなさんはアドベンチャーレースというものをご存知でしょうか? 世界でもっとも過酷なレースと呼ばれ、ゴールまで辿りつけるのは毎回1、2チーム!? 距離、種目、環境などのどれを見ても人間離れしているレースで、普通の人だったら「え、これ死んじゃうじゃん?」と思ってしまうレースなのです。そんなドMなレースに日本唯一のプロチームとして1993年から参戦し続けているのが、Team EAST WIND(通称:イーストウインド)です。
Team EAST WINDのWEBサイトを覗いてみると、
アドベンチャーレースとは、山、川、海、洞窟、ジャングル、砂漠、氷河などあらゆる自然を舞台に、男女混成のチームが協力して、主催者より与えられたコースマップとコンパス(方位磁石)を頼りに、トレッキング、マウンテンバイク、パドリング、ロープワークなどの多様なアクティビティーをこなしながら、ゴールを目指すアウトドアのレースです。
人間の体力、知力、精神力、適応力を駆使して自然と調和し、現代で失われつつある自然への畏敬の念を思い起こさせると共に、仲間との調和、自己を見つめ直す体験ができます。
世界で真の「アドベンチャーレース」と言われる競技の条件は、
1) 男女混成でチームが構成。
2) どの種目においてもナビゲーション能力が必須。
3) スタートからゴールまで昼夜を問わずノンストップで続けられる。
4) レース日程は3日間以上。
こんなことが書かれていました。限界を超えた世界での闘いということだけはわかりますが、どれだけのアウトドア経験を積んだらアドベンチャーレースに出場できるんでしょうね?
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Team EAST WINDのWEBサイト
リノカもチャレンジします!
そんな超過酷な世界のレースに常連として出場し続け、時には世界2位という好成績を残すTeam EAST WINDのリーダー・田中正人さんが、リノカのヘッドクォーターを訪れて下さいました。
というのも、そうなんです! リノカは今回、最高峰のアウトドアマンである田中正人さん率いるTeam EAST WINDへのサポートを開始することにしたのです。
アドベンチャーレースは人力のみですが、国内で練習する時にはクルマが不可欠とのこと。メンバーが練習できるところまで、チームメンバーはもちろんのこと、自転車やカヤック、ギアなどなど、たくさんのものを運ぶ必要があるからです。だったら、ハイエースのリノカがぴったり。
でも、そもそもリノカ大丈夫なのか!? そんな過酷を極める人たちと一緒に日本各地の山の中や海に行けるのか!?
そうなんです! これはリノカのチャレンジでもあるのです。
どんなクルマが必要? リノカチームが叶えます!
訪れてくれた田中正人さんを囲んで、リノカチームからの質問攻めがはじまりました。
「車高は高い方がいいのでは?」
「カンガルーバンパーはあった方がいいよね?」
「窓って必要?」
「内装はどうしたらいいんでしょう?」
などなど、みんなが考える「アウトドアに必要なクルマってこうだよね?」という意見が田中正人さんにぶつけられます。
シンプルかつ、実用的
田中正人さんからは、プロジェクトメンバーが考えもしなかったクルマの使い方が次から次へと出てきました。
「カンガルーバンパーまでは不要ですが、カヤックは天井からロープ固定になりますので、バンパー付近にアイボルトがあるといいですね」
「ルーフキャリアの高さがありすぎるとふらつきの原因になったり、低すぎるとカヤックの船底がボディに接触してしまったりします。高さは最低7cmで、あまり高くないのが理想です」
「自転車やギア類は繊細なので、必ず車内に積みます。荷台が広い5人乗りのバンタイプが便利ですね」
「車内ではロープを使ってギアをフィックスします。床や天井にはアンカーになるボルトホールがたくさんほしいです」
「荷台はできれば防水に、座席も防水仕様が必須です。いつも濡れていますので(笑)」
「ラフトボードのエアー注入に、700Wほどの電源があるといいですね」
などなど、求められたのはフィールドでの「質実剛健」でした。タイヤやボディまわり、そして内装に至るまで、飾りではなく、必要だからこその実用車です。
サポートするクルマの車種は、ハイエースバンのワイドミドルルーフ
ミドルルーフは車内での作業も楽にできますし、ワイドタイプは積載量が増えます。そして一番のリクエストであったバンタイプなら、後部座席の跳ね上げも楽なので、Team EAST WINDの新たな仲間となるクルマにはピッタリです。このバンタイプをベースにリノカをつくっていきます。 もちろんリノカは、簡単に最高峰のアウトドアカーが完成するとは考えていません。実際のフィールドでさまざまな条件と環境を経験し、そのデータをフィードバックさせてさらなる高みを目指すことを考えています。
正人さん、リノカ世田谷店へ
実際のクルマをイメージしていただくために、田中正人さんと一緒にリノカ世田谷店に向かい、今回のベースカーに近いモデルを見ていただきました。
田中正人さんが意外にも最初に反応したのは、車高の高さでした。
「4WDは必須ですからね。これくらい車高が高いと雪道も安心ですね」
田中正人さんがお住まいのみなかみ町では、多いときで50cmもの雪がたった1日で積もるそうです。走行しながらラッセルすることもあるらしく、車高の低いクルマは雪の上に乗ってしまい動けなくなるんだそうです。
これから続くTeam EAST WINDとリノカのプロジェクト
最高峰のアウトドアカーを目指すリノカの新たなプロジェクトの内容は、これからTeam EAST WINDの活動風景と共にご紹介していきます。どんなクルマに仕上がったのか? どんな使い方になるのか? そしてリノカ×EAST WIND号の運命はいかに!
世界でもっとも過酷なレースに挑むTeam EAST WINDが、とことん使い倒すリノカの新たな日常をお楽しみにしてください。
きっと、みなさんのアウトドアライフに役立つ情報もたくさん出てくるはず!
今回のプロジェクトスタートの紹介は、編集部よりお届けいたしましたが、次号からは田中正人さんやTeam EAST WINDから直接の生の声、リアルな現場風景のレポートになります。乞うご期待!
最後に田中正人さんのレジェンドっぷりを少しだけご紹介
この写真は2016年に開催された南米チリ・パタゴニアレースでのゴール風景です。BSプレミアムの番組でも放送され、民放の「クレイジージャーニー」でもよく紹介されたレースです。
強風と急峻な山々、そして激しい寒暖差などで、あらゆる国で行われるアドベンチャーレースの中でも、アスレチック度が高いといわれるがパタゴニアレースです。中央に映っている4名がTeam EAST WIND。右から、今も日本の山々を一筆書きで縦走しながら、アドベンチャーレーサーの魅力をNHK BSの「グレートトラバース」という番組で発信している田中陽希さん。その隣がチーム唯一の女性メンバーとなる西井万智子さん。その隣は現在一度社会復帰をされている山北道智さん。そして一番左の痛々しい姿が田中正人さんです。
このレース途中のマウンテンバイクセクションで転倒してしまい、一時意識不明にまでなりましたが、棄権せずに最後までゴールした思い出深いレースだったとのことです。
それよりもみなさんに注目していただきたいのは、後ろのタペストリーです。
アドベンチャーレース界のレジェンドの顔が3名見えますね。あれ? 気が付きましたか? 真ん中の眼鏡男。
そうなんです。田中正人さんなんです。日本での知名度はそれほど高くありませんが、田中正人さんは、25年以上もアドベンチャーレースに人生をかけている現役の選手として、世界のレジェンドのひとりとして数えられているのです。
リノカとTeam EAST WINDの新たなプロジェクトがますます楽しみになりますね。