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2022.9.7

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【Vol.77】限界のその先

2022.9.7

連載:Renoca Adventure

なぜ挑戦するのか

私はトレイルランナーです。自己最長距離は665kmで、今度は1001kmに挑戦します。 私はアドベンチャーレーサーです。何日間もほぼ不眠不休で道なき道を冒険します。 こんな自己紹介をすると、大抵の場合、相手は目を大きく見開いて「・・・え、どうゆうこと!?」と驚きの表情を見せる。そしてそれが一体どういったものなのか2~3質問を投げかけた後で、それでもやっぱり理解できない、といった表情でこう聞くのだ。
「なぜそんな過酷なことに挑戦するの?何が楽しいの?もしかしてドMなの?」・・・念のため先に答えておくが、私はドMではない。

知っているかどうか、違いはそれだけ

知っているかどうか、違いはそれだけ

ドMではないが、クレイジーな挑戦を好む、いわば少数派の人間であることは否定できない。ではなぜそうゆう人間になったのかと聞かれれば、答えは簡単だ。 『知ってしまったから』
私は、「もうダメだ、一歩も走れない」と思った後に気力だけでさらに何十キロも走れることを知ってしまった。 私は、歯を食いしばるくらい脚が痛くても、我慢して走り続ければいずれ痛みが消えることを知ってしまった。 私は、途方もない距離でも諦めずに一歩一歩進み続ければ、いずれゴールに辿り着けることを知ってしまった。 そう、自分の感じている限界が本当の意味での限界ではないことを知ってしまったのだ。 この事実に気づいた瞬間、未知の領域に挑戦することへの恐れは半減し、かわりにワクワク感が倍増した。

クセになる魅力

いくら『知っている』とはいえ、限界ギリギリまで頑張るのはいつも大変なのだが、それでもやっぱり、限界のその先を見た時の興奮はクセになる。だから、やめられないのだ。 さて、私は数日後に1001kmのトレイルレースを控えている。自身最長距離への挑戦だ。走り終えた時、私はどうなっているのだろうか。限界のその先のさらに向こう側はいったいどんな気分なのだろうか。 今から楽しみだ。

クセになる魅力
所 幸子さん

著者:ジョージ/所 幸子TOKORO SACHIKO

100マイルの何倍もある超長距離トレイルレースを得意とするランナー。国内外のトレイルレースに挑戦する傍ら、2016年頃からは国内アドベンチャーレースにも参戦し始める。2022年にはイーストウインドのメンバー(通称ジョージ)として自身初となる海外アドベンチャーレースExpedition Oregonに挑戦し、完走を果たす。