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2022.6.22

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【Vol.72】三歩トレランのすすめ

2022.6.22

連載:Renoca Adventure

山を走る過酷なスポーツ?

トレイルランニング(以下トレラン)とは何だろうか。最近では知名度も出てきたので、やったことは無くてもなんとなく耳にしたことはあるという人も多いのではないだろうか。
日本トレイルランニング協会のウェブサイトによれば ❝未舗装路の起伏のある山道をランニングする陸上競技❞とある。要はハイキングで行くような自然の中を走るスポーツだ。
しかし、ここでよく誤解されてしまうのだが「山を走る=登りも下りもずっと走っている」というわけではない、ということ。 一部のトップランナーはレース中ずっと走り続けているが、多くの一般ランナーは走れる場所しか走らない。 登りは黙々と歩くし、下りも木の根や岩が飛び出たテクニカルな箇所は歩いているランナーが少なくない。 トレイルランナーだからといって、常にトレイル(未舗装路)をランしているとは限らないのだ。 トレラン中だって歩いていい。仮にもし、登りも下りも走り続けることを強制されたとしたら、こんな過酷なスポーツは無いだろう。

初めてのトレラン

初めてのトレラン

実際、私の中ではハイキング(歩き)とトレラン(走り)のふたつを明確に区別しているわけではない。
どちらも「自然の中を楽しみながら移動している」という感覚だ。
だからトレラン向きの格好で山に入ってずっと歩いている時もあれば、ハイキング向きの格好で山を駆け抜けている時もある。
今日はトレラン!と決めるのではなく、楽しく走っていたらそれがトレランだった、というだけだ。

そういう意味で、私にとって初めてのトレランは約25年前になる。
家族で尾瀬の湿原を数日かけて歩いていた時のことだ。
当時はトレランはもちろんハイキングというものもよくわかっておらず、親に連れられるままだらだらと歩いていた。
そんな時、「この鬱蒼とした森の先には何があるのだろう」とふと思い、駆け出した瞬間があった。
気分は軽快に走る鹿だ。あの時の高揚感と爽快感は今でも忘れられない。

距離にしてみれば走っていたのは20m足らずだったが、あの経験は私にとって間違いなく初めてのトレランだった。

楽しければそれでいい

トレラン=ずっと走るもの=過酷、というような先入観によって敷居が高くなっているスポーツは他にもある。アドベンチャーレースだ。
「体力が無ければできないんでしょう」
「マウンテンバイク持ってないから」
「地図読みできないし」
・・・いいえ!
ずっと歩いてもいいんです!マウンテンバイクのレンタルあります!地図読みできる人とチームを組めばいいじゃない!(チームを紹介してくれる大会もあります)

こうじゃなきゃいけない。こうゆう人しかやっちゃいけない。そうやって勝手に決めて諦めるのはとてももったいない。
やってみたいな、楽しそうだな、と思うならとりあえずやってみればいい。ほんの少しでもいいから。

とはいえ、今までまったくアウトドアスポーツをやったことがない人に、いきなり山に行けというのも極端な話だとわかっている。

だからまずは、梅雨が明けたら、散歩するつもりで三歩だけでもトレランしてみてはいかがだろうか。
近所の公園でもどこでも構わない。服装だって何でもいい。(本格的に山へ行く場合は適切な装備を持って欲しいが・・・)
気持ち良いなと思える場所で、息が切れない程度に、少しだけ駆け出してみてほしい。
その瞬間、少しでも楽しいと思えたのなら、私はあなたに笑顔でこう言いたい。
「ナイストレラン!」

楽しければそれでいい
所 幸子さん

著者:ジョージ/所 幸子TOKORO SACHIKO

100マイルの何倍もある超長距離トレイルレースを得意とするランナー。国内外のトレイルレースに挑戦する傍ら、2016年頃からは国内アドベンチャーレースにも参戦し始める。2022年にはイーストウインドのメンバー(通称ジョージ)として自身初となる海外アドベンチャーレースExpedition Oregonに挑戦し、完走を果たす。