3年ぶりの海外レース
イーストウインドは3年ぶりの海外レースに出場するためアメリカに旅立った。
今回のメンバーは、田中陽希(ヨーキ)、米元暎(ヨネ)、所幸子(ジョージ)、田中正人(隊長)の4人。
ヨーキは言わずとも知れたグレートトラバースで一躍世に出た人気者だ。しかし本格的なアドベンチャーレースは実に5年ぶりになる。
ヨネは今回3回目の海外レース。ここ数年はコロナ禍の影響でレースに行けず、ひたすら耐えて、それでも日々地道にトレーニングを続けてきた。体力は鉄板である。
ジョージはウルトラトレイルランを専門とするランナー女子。アドベンチャーレースはこれが初めて。
そして今年55歳になる鬼軍曹。以前のような体力や筋力は維持できなくなったものの、チームワークを主軸として進むアドベンチャーレースにおいて、その経験値からこの競技の真髄を伝えていってくれるだろうと期待している。
なんだか新しい東風が吹く予感。
レースコーディネーターは尊敬すべき好敵手
長年イーストウインドを見続けてきた者として、あくまでも個人的見解ではあるが、今回の見どころを紹介したい。
まず大会主催者はPatagonian Expedition Raceで戦友とも言える宿敵Bend Racing(元Yoga Slacker)のチームメンバーであること。
コースクリエイターはBend RacingのJason Magness氏。世界中のアドベンチャーレースに挑む現役選手であるだけに、かなりスパイスの効いたコースが予想される。
ここで少し宿敵Bend Racingを紹介したい。
彼らは我々と同じレーステイストを持つアメリカのチームである。
スピードや体力を重視し、安全性を求める最近の世界選手権より、数日間人類を会わないような大自然に放置されるワイルドなアドベンチャーレースを好む。
特にPatagonian Expedition Race(PER)はトラッキングもなければ、スタッフも極少。頼るは己の力のみ。そんなレースに毎年出場する。
2016年のPERでは、中盤にJasonが腰を痛めて動けなくなった。メンバーが牽引し、必死でついていくものの、最後には足が前に出なくなってしまった。
Bend Racingr無念のリタイヤ。
折しも鬼軍曹田中が自転車で転倒して頸椎捻挫をしたレースである。
過酷な状況下でメンバーに引っ張られながらも必死で歩いているJasonを見かけた鬼軍曹。
「こんなになっても頑張ってる。俺もがんばらないと」
と、感動と刺激をもらったそうだ。
Jasonも頸椎を捻挫してでも最後まであきらめなかった鬼軍曹に対し、感銘し、深く敬意をもってくれた。
この二人には言葉や文化を越えた何か深い縁があるようにも思える。
ちなみに写真はPERで掲示されるバナーで、鬼軍曹が真ん中、Jasonは左。
自然よ、かかってこい!!
さて、そんなJasonが創るレースは、事前情報で自転車のアップダウンがかなりあると聞いた。累積標高差もエベレストを抜くと言う。
また出発直前に「例年にない雪が降っていて、スノーシューを強く推奨する」という連絡が入った。
主催者は神様じゃない。天候をコントロールできない。その時の天候に応じて機転に対応するしかない。
舞台は自然。不確定要素がたっぷり詰まったこの環境だからこそ、何が起きるか分からない。それに対応していくのがアドベンチャーレースであり、醍醐味のひとつである。
次回はイーストウインドのメンバーそれぞれの見どころを紹介したい。