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季節の変わり目によく聞く「雹害車」。価格が安い場合が多いけど、飛びついても大丈夫?

雹害車のメリットとデメリット

車の価格を調べていると、相場よりも安い車が見つかります。ワケアリで安くなっている車ですが、その中に雹害車(ひょう害車)という車が出てきます。 相場より安い車両価格には理由あり。雹害車の意味と、メリットやデメリットを解説します。

雹害車とは?

季節の変わり目に発生する「雹(ひょう)」。ときにはこぶし大のサイズの雹が落ちてくることもあり、農作物や建物などに大きな被害をもたらしています。被害額もかなり大きく、毎年のように報道されています。

大きな雹によって被害を受けるのは農作物だけではありません。車に当たると、当然ですが傷がついてしまいます。そんな雹の被害を受けた車のことを一般的に「雹害車」と呼びます。

雹やあられの被害は

雹は、上空の冷たい雲と地表の温かい空気が混ざることで積乱雲が発生し、空気中の水蒸気が冷却されて氷の塊に成長し、落下してくる気象現象です。雹のサイズはさまざまですが、大きく成長するとゴルフボールやこぶしくらいの大きさになることもあります。ちなみに雹とあられの区別はサイズの違いだけで、0.5cm以下があられに分類されます。なお、世界ではもっと大きなサイズまで規定があり、アメリカの気象学会では10cm以上の雹を「ジャイアント」サイズ、15cm以上を「ガルガンチュア」サイズと名付けています。

雹害を受けると車の外装が損傷してしまうので、価値が下がってしまうことになります。小さければあまり問題はありませんが、大きなサイズの雹が落ちてきたら大変です。ボディに当たった場合は凹みや傷がつきます。大きければ大きいほど、硬ければ硬いほど衝撃も大きくなります。

塗装面は擦り傷がついたり、割れてしまうこともあります。また、窓ガラスも同様です。ひびが入ったり、最悪の場合は割れることもあります。樹脂部分は擦過のような傷にはかなり強いですが、それでも無傷で済まないこともあります。

季節は春から秋にかけて

雹は発生しやすい季節が決まっています。季節の変わり目、とくに春から夏に切り替わる5月〜6月と、夏から秋に切り替わる9月〜10月に多く発生しています。太陽によって地上は熱せられていますが、上空に寒気が入ってくるタイミングです。

雹害車のメリット

雹害車は交通事故で受けた損傷とは異なり、あくまでも自然現象です。傷がついているからあまりポジティブには捉えられないかもしれませんが、結構メリットになる部分があります。

車両価格が相場よりも安い

一番のメリットはやはり車両価格が安いことです。同車種同グレードで比較しても、相場より安く設定されます。雹害の状態にもよりますが、10万円〜30万円程度は下がっていることが多いようです。

車を購入する際に少しでも車両価格を抑えたいと考えている場合は、この価格差は大きいですね。差額は修理費用に当ててもいいですし、オプションを追加したり、カスタムパーツの費用にしてもいいでしょう。

走行性能に影響がない

もうひとつのメリットは、冒頭にも書いた通り事故で生じた傷ではないということです。大きな事故の場合、車の骨格までダメージが入ってしまうことがあります。その場合、「修復歴あり」と表示することが義務付けられていますが、ユーザーとしてはどこまでしっかり直っているのかは販売店を信頼するしかありません。

しかし、雹害車の場合は事故ではないので、車が受けたダメージは大きくありません。ちなみにルーフパネルを切り取って修理した場合は「補修歴あり」になりますが、同様にルーフまで歪んでしまうような事故とは異なるので、車自体のストレスは小さいものです。

また、あくまでも個人的な感想ですが、事故に遭ってしまった車よりは雹害車のほうが心情的にもいいかと思います。

雹害車のデメリット

雹害車のマイナス面が気になるという人も多いでしょう。メリットに続いてデメリットについても考えてみましょう。

修理に費用と時間が掛かる

修理すれば高く売れるのでは? と思うかもしれませんが、修理には時間と手間が掛かります。時間とともに中古車の価格は下がっていきますし、修理代金の回収ができないかもしれません。

なお、フロントガラスが割れている場合は車検に通らないので、未登録車や車検が切れている車は修理をしてから販売することになります。

修理方法によっては修復歴ありになる

雹害によって生じた傷があまり目立たなければそのまま乗れますが、目立つ傷であったり、オーナー自身が気になるようであれば修理することになります。雹害を受けやすいのは、車の上面です。ボンネットやトランクは交換しても補修歴には含まれませんが、ルーフパネルを交換すると補修歴ありになります。ルーフパネルはボディの構造材なので、板金作業で脱着が行われると、シャシーフレーム同様に補修した履歴がつくというわけです。

売却時に相場よりも査定が下がる

安い価格で購入できるのが雹害車ですが、修理をせずに売却する場合も安くなります。外装の傷は、程度によりますが査定の評価はマイナスとなります。雹害の場合、凹みや傷の数が多くなることもあり、それなりに査定額は下がることが考えられます。

雹害車を購入するには

雹害車を購入するときに注意する点がいくつかあります。基本的に販売店は雹害車であることを提示していますが、一部の悪質なお店は雹害車であることを隠していることもあるようです。

必ず現車を確認すること!

カーセンサーやGooなどの自動車物件を掲載しているサイトは、1台ごとに詳細な写真を数多く掲載しています。「細部までわかるから写真だけで大丈夫」とせずに、販売店に行って車を実際に確認することをオススメします。雹害で受けた凹みは深さがバラバラで、写真に写りづらいものもあります。写真では大したことがないように見えても、実際には結構凹んでることもあります。もちろんその逆もありますので、実車を直接見て確認するのが一番です。

購入後はサビに注意

雹害を受けた車は、塗装面にダメージを負っていることがあります。ぱっと見ではきれいでも、表面のクリアに傷が入っていたり、下の塗膜にも影響していることもあります。塗装面の傷からサビが生じることもあるので、状態を見ながらケアをしていくことをオススメします。

購入後に雹害を受けた場合の車両保険の適応は?

車両保険を契約していれば、雹による傷は「物の飛来・落下」に該当するので、ほとんどの場合は補償の対象となります。翌年の等級は1つ下がり、事故あり係数適用期間が1年加算されますが、広範囲に雹害が及んでいる場合には修理費もかさむので車両保険に入っている方がいいでしょう。

割り切りれば雹害車は購入しても大丈夫です

これまで雹害車のメリットとデメリットについて解説してきました。雹害車を購入する場合は、まず必ず現車を確認することが大事です。同じ車種・同じ年式・似たような走行距離・同じグレード・似たような装備の車との価格を比較し、価格と雹害で受けた傷の状態が見合っているかを考え、納得できるものであれば購入してもいいでしょう。

例えばランクル系ならば、ちょっと凹みや傷は逆に似合いそうです。また、ハイエースの場合は屋根が高いため、多少凹みがあっても普段は見えないという考え方もあります。

いずれにしても、雹害車は傷や凹みというネガティブな側面はあるものの、車の走行に関するものではないので、価格と見た目の折り合いが付けばいいのではないでしょうか?

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執筆者

熊崎 圭輔(くまさき けいすけ)
元輸入車カスタム雑誌の編集長。ドイツ語圏を中心にレンタカーで走り回った旅好き。その後MOTAに移籍。副編集長として、新型車をはじめクルマに関する記事制作に従事。国内外を問わずドレスアップやチューニングにまつわる取材経験から、MOTAカスタムの記事展開にも寄与。純正もいいが、カスタムすれば自分のクルマに対してさらに愛着が湧き、人とは違う個性的なクルマにすることで、人生がもっと楽しくなると考えている。