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【車好き必見】ミドルクラスSUVの牽引役、ランドクルーザープラドの歴史

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世界中で信頼され、活躍するプラド

1990年に初代プラド(70系)が登場してから現在まで、ひと口にランドクルーザープラドと言っても90系、120系、150系と世代交代しながら進化してきました。各モデルごとに特徴があり、その魅力もひと言では表せません。しかし、世界中で認められ、活躍してきたランドクルーザー・ファミリーの一員として共通する最大の魅力は、その信頼性と総合的な走行性能レベルの高さにあると言えるでしょう。ヘビーデューティなランドクルーザー40系の後継車であるランドクルーザー70系バンから派生したライトデューティのステーションワゴンということで、快適な乗用車への転換を前面に押し出して進化してきました。

しかし、その根底には“ランドクルーザーであること”を意識したクルマ作りが常に行われてきました。ハイラックスサーフとシャシーを共有するランドクルーザー90系以降のプラドを「ランドクルーザーとは認めない」というコアなランドクルーザーマニアも存在しますが、ランドクルーザー70系から独立した後も世界中で認められ、活躍していることに変わりはありません。日本国内でも4WDとしての性能に加えて、道路事情や車庫事情に適したサイズやユーティリティ面も高く評価され、中古車マーケットでも供給が安定しています。そんなランドクルーザープラドの歴代モデルの特徴と魅力を紹介します。

人気のランドクルーザープラド

ランドクルーザープラドの概要

プラドは、ランドクルーザーの弟分で、ランドクルーザーこそが真のランクルである。という人もいるようですが、その歴史を振り返ってみると、しっかりとランクルの思想を受け継いだモデルであることがわかります。では、歴代モデルを振り返ってみましょう。

プラドの前身:ランドクルーザー70ワゴン(1985〜1990)

写真の車両はプラドではありません。プラドの説明記事なのに、プラドではない写真をなぜ載せているのか? と思うかもしれません。実はこの車が、プラド誕生のきっかけを作った重要なモデルである「ランドクルーザー70ワゴン」です。ランドクルーザー史上初のワゴン登録(5ナンバー)モデルであり、後の70系プラドの前身となったのが、このモデルです。

外観はランドクルーザー70系バンのヘビーデューティなイメージのまま、サスペンションがコイル化され、主にオンロードでの乗り心地改善が図られたモデルです。ちなみにコイル・サスペンションの採用は、国産クロカン4WD(クロスカントリ―4WD)では初でした。エンジンは2.4リッター直列4気筒ディーゼルターボを搭載。組み合わせられたトランスミッションは5速マニュアルのみ。5ナンバー車は車検期間など、コスト面でバン登録車より有利な面がありましたが、当時はそんなワゴンとしてのメリットよりも、国産クロカン4WD初のコイルスプリング+リジッドアクスル式サスペンションによる走破性に注目が集まりました。

インテリア面では、一定のラゲッジルームを確保しなければならないバンに較べ、その縛りが無いワゴンには、リアシートにゆったりとした足元スペースやリクライニング機構が与えられており、快適さでは大きなアドバンテージがありました。今となっては現存する個体が稀少となってしまいましたが、プラド誕生の足がかりとなる重要な役割を果たしたモデルです。

“プラド”の名を初めて冠したモデル、ランドクルーザー70プラド(1990〜1996)

ランドクルーザー70系ワゴンが大幅な変更を受け、専用のフロントデザインを与えられ、「プラド」と命名されて独自の路線を歩み始めた記念すべきモデル、それがこのランドクルーザー70プラドです。8人乗り/4ドア車の追加やオートマチック車の設定も行われ、一般ユーザーにも身近な仕様になったのが最大の魅力でした。

そしてさらに、ワイドフェンダーモデル(3ナンバー車)の追加や、よりパワフルなエンジンの搭載などの変更を経て、いまいち人気が獲得できなかった70系ワゴンから一転、プラドは人気モデルへと変貌していったのでした。エンジンは従来型を電子制御化した2.4リッター直4ディーゼルターボ、トランスミッションは、従来の5速マニュアルに加えて、電子制御式4速フルオートマチックも設定されました。

最終的にはさらにパワフルな3リッター直4ディーゼルターボが搭載され、プラドの非力なイメージが一掃されたことも、このモデルの特徴です。インテリアでは、後期モデルでダッシュボードが丸みを帯びたデザインになり、それまでのトラック臭を払拭する改良が行われ、バンとの差別化が積極的に進められました。こうした改良や変更により、従来の70系ファンとは明らかに違う独自のユーザー層を増やしたモデルです。

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仕様が豊富なランドクルーザー90プラド(1996〜2002)

ランドクルーザー90プラドは、それまで70系の中の1車種だったプラドが独立し、新たな型式を与えられたモデルです。当時売れに売れていた三菱パジェロを強く意識して開発され、パジェロに酷似した仕様やフォルムが大きな話題となったことを覚えているファンも多いでしょう。国内仕様ではプラド初のガソリン車が加わり、後期モデルではコモンレール式新世代ディーゼルを投入。これに加えてサスペンションはフロントが独立懸架化されるなど、当時のクロカン4WDとしては画期的な改良が多く施されました。ボディバリエーションは、3ドア・ショート(90プラド)と5ドア・ロング(95プラド)それぞれに標準(ナロー)ボディとワイドボディが設定され、グレードも豊富だったため、選択肢が多いことが90系プラドの特徴であり、魅力でもありました。

また、これ以外にもオプションパッケージ仕様やキャンピングカー仕様、5ドア・ロング車の「5人乗り仕様」などが用意されていたため、その選択肢は最大で何と60種を超えていたのです。インテリアも一新され、トラックや作業車的なイメージが払拭されたインパネは、その後のクロスカントリー4WDの多くに影響を及ぼしました。70プラドは、ランドクルーザーユーザーの裾野を広げた重要なモデルと言えるでしょう。

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高級化が進んだランドクルーザー120プラド(2002〜2009)

ランドクルーザー120プラドは、北米向けではレクサスGX470として展開されるなど、高級化が促進されたモデルです。先代の90系プラドに較べ、質感やパフォーマンス向上が図られ、外観デザインも、より複雑なプレスラインが採用されており、メインマーケットであるヨーロッパを意識したフォルムに進化しています。

性能面では、H∞-TEMS+車高調整機能付きリア電子制御エアサスペンションやAI-SHIFT付5速オートマチックトランスミッション、VSC(ビークルスタビリティコントロール)、アクティブTRCなどといった電子化が進められました。

また一方ではマニュアルトランスミッション廃止やディーゼル車の販売終了など、時代を大きく反映していたモデルでもあります。エンジンは2.7リッター直4ガソリンと3.4リッターV6ガソリンの二本立て。90系時代からコストパフォーマンスに優れた直4ガソリン車の中間グレードが人気でしたが、この120プラドでも同様で、現在の中古車市場でも中間グレードの流通が多くなっています。なお、当時オプションだったリア・マニュアルデフロック装着車も多いので、クロカン派にはオススメ。全てを電子制御に頼らないところなどは、ランドクルーザーらしい美点と言えます。

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最新技術の採用も進んだ現行モデル、ランドクルーザー150プラド(2009〜 )

ランドクルーザー150プラドは、120プラドから顕著になったプレミアム化がさらに進み、熟成期に入りました。 国内向けの3ドア・ショート車が廃止され5ドア・ロングのワイドボディのみとなりましたが、最大の注目ポイントとしては、約8年ぶりにディーゼルモデルが復活したことが挙げられます。最新技術の投入もさらに進み、シーケンシャルシフトマチックを搭載した5速オートマチックトランスミッションの採用、改良型のキネティックダイナミックサスペンションシステム(KDSS)の設定、オフロード走行環境に応じた走行モードが選べる「マルチテレインセレクト」の採用、車載カメラの映像から周囲の路面状況を確認できる「マルチテレインモニター」の採用など、多くの先進機構が装備されています。

エンジンは120系時代からさらなるパワーアップが施された2.7リッター直4ガソリン(6速オートマチック)と新開発の2.8リッター直4・DOHCディーゼルターボ、というのが現在のラインナップです。なお、ディーゼル復活と同時に4リッターV6ガソリンの1GR-FE型は、国内向けに限り廃止となりました。デビューから7年目となり、熟成の域に達した現行型150プラド。次期モデルへの期待も高まる今日この頃です。

人気のランドクルーザープラド150

執筆者

熊崎 圭輔(くまさき けいすけ)
元輸入車カスタム雑誌の編集長。ドイツ語圏を中心にレンタカーで走り回った旅好き。その後MOTAに移籍。副編集長として、新型車をはじめクルマに関する記事制作に従事。国内外を問わずドレスアップやチューニングにまつわる取材経験から、MOTAカスタムの記事展開にも寄与。純正もいいが、カスタムすれば自分のクルマに対してさらに愛着が湧き、人とは違う個性的なクルマにすることで、人生がもっと楽しくなると考えている。