D1コンビであってもやはり一筋縄ではいかないのがアジアンラリー1。最長のリエゾンと難易度の高いSSに挑むも、マシンは手負いの状態に。果たして無事にサービスまでたどり着けるのか? アジアクロスカントリー2024 LEG-2の模様をリポートします。
大会最長のリエゾン区間と難易度の高いSSを擁するLEG-2
LEG-2のSS2は、スラタニをスタートしてチャアムまでの約530kmという長丁場です。前半に約80km、後半に約40kmという2つの競技区間が設定されています。この区間はさまざまな地形やコンディションが待ち受ける本格セクションで、ドライバーやナビゲーターにとって技術的な挑戦が多いステージです。特に、森林や丘陵地帯を走破することが予想され、コースの難易度は非常に高くなります。
加えて、LEG-2は431kmに及ぶ今大会最長のリエゾン区間があります。前後のSSを好タイムで走破しつつ、長距離のリエゾンも規定時間内で走り抜け、最終的に無事サービスがあるホテルまで辿り着かねばならないということで、コース全体のベース配分も重要になります。
ナビゲーターには正確なルート指示が求められます。特に道幅の狭い区間や視界が限られるエリア、さらに民家や学校がある場所は速度制限が厳しく設定されてます。競技中に即座の判断が必要で、ドライバーとナビゲーターのチームワークが何より必要です。この区間をいかに速く、かつ安全にクリアできるかが、全体の順位にも大きく影響を与えることでしょう。
ミスコースにより大幅なタイムロス
我々のチームは、LEG-2のSS2で大きなアクシデントに直面しました。コマ図(ロードブック)の誤読からナビゲーションのミスが発生し、結果的に大幅なディレイを招く事態となりました。(※コマ図:どの方向に何km進むかなどを分岐点ごとに記した簡易的な地図のこと)
コマ図の読み間違いはチームにとって致命的なミスとなります。一度でも読み間違えて正しいルートを外れて走行を続けてしまうと、地図と合わないまま何キロも走ることになり、さらに迷子になってしまいます。
特に、この区間は複雑な分岐点や変化する地形が多いため、一瞬の判断ミスでも大きなタイムロスに直結します。今回ドライバーとナビゲーターはすぐに誤りに気づいたものの、正確なルートに復帰するまでに多くの時間を費やすはめになり、結果として大幅に遅れを取ることになりました。
受難が続いたSS2
ミスコースに加えて、実はマシンのリヤショックにも問題が発生していました。これによりリエゾンはともかく、後半のSSでのアタックが難しくなるのではないか、と誰もが想像しました。
しかし、この困難な状況にもかかわらず、チームは冷静に次のステージでの挽回を図るために全力を尽くしています。マシンがホテル到着後、メカニックチームやサポートスタッフと協力して、車両の状態を再確認。次のステージで最大限のパフォーマンスを発揮できるよう準備を整えています。
ドライバー陣はミスコースを教訓にして、より慎重なナビゲーションと集中力を持って挑戦していくための緊急ミーティングを開催しました。
不幸中の幸い! 後半のSSがキャンセルに!
マシンは大きな問題を抱え、タイム的にもディレイしていましたが、幸いにもLEG2のSS後半がキャンセル! チームはさらなるトラブルを避けることができました。ミスコースやリヤショックのトラブルにより、すでに大幅なタイムロスを抱えていたチームにとって、このキャンセルは大きな救いとなりました。
キャンセルの決定は、悪天候やコース状況の悪化、またはその他の安全上の理由によるものであり、全チームにとって公平な措置でした。これにより、チームは余計なリスクを負うことなく、次のステージに向けて車両のメンテナンスや戦略の立て直しに集中する時間が得られました。
状況からリカバリーするためにチームは全力を尽くします
チームは、このチャンスを活かして車両の修理に全力を注ぎ、リヤショックの問題を解決するために、メカニックチームが迅速かつ徹底的に作業を進めました。また、ナビゲーションの確認や戦略の再考も行い、次のレグに向けて万全の準備を整えています。
SS2でのトラブルにより、FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESチームは総合順位を後退させる結果となりました。しかし、この状況に対してナビゲーターのデイチャポン選手は迅速に対応し、夜には新しいショックアブソーバーを手配。
そして夜通しの作業が再び始まり、FLEXのメカニックと中央自動車大学校の学生によるチームは、車両を万全な状態に戻すために懸命に取り組んでいます。この作業はチーム全体の士気を再び高め、次のステージに向けての準備を整えるために重要な時間です。
続くLEG-3も長距離のSSとリエゾンが待ち受けています
今回の苦境を乗り越え、チームは再び上位進出を目指し、次のレグに全力で挑むことでしょう。翌日のLEG3は、168kmのSS3と193kmのリエゾンという非常に長いコースが待ち受けています。このロングコースは、車両とドライバーの耐久性、そしてチーム全体の戦略と対応力が試される重要なステージとなります。
チームは夜通しのメンテナンス作業を経て、翌日の過酷なLEG-3に挑むことになります。特に、SS3は距離が長く、コースの多様性も高いため、これまでのトラブルを乗り越えたマシンの性能と、ドライバーとナビゲーターのコンビネーションが勝敗を左右するでしょう。
チームは、この長丁場をどう乗り切るかが、総合順位の巻き返しにとって重要なポイントとなることを強く意識しています。全員が一丸となり、次のステージに向けて準備を整えています。引き続き、応援をよろしくお願いします!