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ランクル愛が迸る! FJ45 x ランクル100で蘇ったRetro Cruiser(レトロクルーザー)【SEMA】

SEMAショー2023 Toyota FJ45 Retro Cruiser(レトロクルーザー)

トヨタUSAがSEMAショー2023の会場で展示したデモカー「Retro Cruiser(レトロクルーザー)」1を紹介しましょう。ランクル250の販売開始を目前とする北米市場を盛り上げるために企画されたスペシャルモデルは、隅々までランクル愛が迸った車でした!

懐かしいランクル45をリノベ

ランクルは70年以上に渡って全世界で愛されてきた車です。一旦北米市場からは撤退していますが、2024年にランクル250とともに再上陸をする予定になっています。現地ではさまざまな場所でプレビューを行っていますが、2023年のSEMAショーの会場で注目を浴びたのが、このRetro Cruiserです。

ベースは1967年式のFJ45ランドクルーザー

Retro Cruiser(レトロクルーザー)のベースになったのは、ランドクルーザーFJ45。ランクル40のピックアップトラックボディで、元の車両自体が製造されたのは1967年のことです。ちなみにこのRetro CruiserはトヨタがSEMAショーに向けてゼロからカスタムしたというわけではありません。

ベースとなったのは、パイクスピークなどで活躍した元レーシングドライバー、ロッド・ミレン氏のカスタム会社「ミレン・ワークス」が1999年2月のシカゴオートショーで発表した同名のコンセプトカーです。四半世紀眠っていたその個体に対して、トヨタがSEMAショーに向けてレストアを行ったというわけです。

アメリカ人はV8エンジンをブチ込むのが大好き!

アメリカのカスタムでは定番のエンジンスワップが、このRetro Cruiserでも行われています。彼らはストックのエンジンもチューニングしますが、より排気量の大きなV8エンジンに載せ替えるのが大好き。V8信奉な人たちなんです。

ただしベースのFJ45はボディの幅が狭く、純正の状態ではV8エンジンは収まりません。ということでミレン・ワークスがとったのは、いったん車を縦方向に割ってから幅を広げるという方法。FJ45はラダーフレームなのでモノコックフレームの車と比較したら簡単かもしれませんが、それでもV8を積むためにフレームから真っ二つにしてワイドにするというのは、何ともアメリカンな発想です。この大胆な方法でフロントトレッドは4インチ(約10cm)拡幅されることになりました。

そして搭載されたのは、FJ100、いわゆるランクル100に搭載されていた4.7リッターV8エンジンで、出力は230ps。排気系にはカスタムメイドのBorla製ステンレスエキゾーストが組み合わされています。エアコンなどの補機類も装着するため、エンジン自体は搭載位置を約8インチ(約20cm)後方に移動。つまりドライブシャフトなども新たに製作しているというわけです。

レトロでオシャレなエクステリア

ワイド化をしたRetro Cruiserですが、実はボディを10インチ(約25cm)延長しています。横だけでなく縦も伸ばしているというわけです。ドアパネルやリアクォーターに施されたリブや、2つのリアゲートを溶接して作り出したリアハッチなど、FJ45のもつスタイリングのイメージを崩さずにアップデートしています。

フェンダーはランドクルーザー伝統の台形のままワイド化、フロントグリルやボンネットもプロポーションを損なわないように注意しながら幅を広げた結果、レトロなスタイリングながら、グラスエリアの天地を狭めるカスタム「チョップドトップ」のようなテイストも感じさせてくれます。

インテリアは豪華なコノリーレザー仕上げ

ドアを開けると、コノリーレザーで張り替えられた豪華な空間が広がります。ダッシュボードはエンジンの位置が後方にズレた関係で作り直されていますが、それを感じさせない仕上がりです。ビレットのステアリングにレザーグリップを施すなど、ホッドロッド風のカスタムも時代を感じさせます。

さらに室内には15ガロン(約57リットル)の飲料水用タンクや、シャシー剛性を高めるためのロールケージなども組み込まれています。

走行性能も結構ガチ

サスペンションはビルシュタイン製のリザーバー付きダンパーとして、リアも独立懸架式に変更。アーム類も新たに作り直されており、ホイールのトラベル量は3割以上向上。さらに最低地上高を上げ、前後のオーバーハングを短くしたことで、アプローチアングルは48度、ブレークオーバーアングルは28度、ディパーチャーアングルは32度となり、ランクル100よりも向上しています。室内のスイッチでコントロールできるセンターロックデフや、9000ポンド(約4トン)を牽引できるウインチをフロントに装備。

17インチのビレットホイールに35インチのジェネラルタイヤ・グラバーを組み合わせ、ファットな足元を演出するなど、ショーカーとしての見た目とオフロード性能を両立させています。

こんな楽しみ方もアリ

トヨタは24年間眠っていたこのRetro Cruiserを完璧にレストアし、オフィシャルのデモカーとしてSEMAショーに出展しました。これは北米にランドクルーザーを再上陸させるためのマーケティング活動の一環ではありますが、カスタム好きなアメリカらしい方法ですね。

ランクル40は日本でもかなりレアな存在になってきました。そんなヨンマルを思いっきりイジる。ヘリテージなFJ45とランクル100を融合させたカスタムランドクルーザー。できる限りオリジナルで乗りたい派とは正反対ですが、楽しみ方はさまざま。ランクル愛が迸る1台です。

SEMAショーとは?

北米ラスベガスで開催されたSEMAショー。カスタム好きの人ならば耳にしたことがあるかもしれませんが、世界最大規模のアフターパーツのB to Bトレードショーで、パーツメーカーが製品を販売店向けに発表するイベントです。新作のお披露目もあり、ここで話題の製品が来年のアフターマーケットのトレンドを大きく左右するといっても過言ではありません。

以前はアフターパーツメーカーがメインでしたが、自動車メーカーもSEMAに注力しています。これは東京オートサロンも似たような傾向ですね。北米のメーカーだけでなく、TOYOTAやLEXUSなどもブースを構えています。

人気のランドクルーザープラド

執筆者

熊崎 圭輔(くまさき けいすけ)
元輸入車カスタム雑誌の編集長。ドイツ語圏を中心にレンタカーで走り回った旅好き。その後MOTAに移籍。副編集長として、新型車をはじめクルマに関する記事制作に従事。国内外を問わずドレスアップやチューニングにまつわる取材経験から、MOTAカスタムの記事展開にも寄与。純正もいいが、カスタムすれば自分のクルマに対してさらに愛着が湧き、人とは違う個性的なクルマにすることで、人生がもっと楽しくなると考えている。

出典

  1. Retro Cruiser【トヨタUSA NEWSROOM】