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【最新版】トヨタ ランドクルーザー80:時流に乗って進化したエンジン

ランドクルーザー80

何と言ってもランドクルーザー80の主流はディーゼル・ターボだった!

ランドクルーザー80は1990年から1998年という、いわゆる4WDブームの絶頂期に販売されていたモデルです。それまでのランドクルーザーと同様に、メインのマーケットが北米やオーストラリア等の海外だったとはいえ、国産4WDの最高峰というポジションに位置付けられていたこともあり、バブル経済の真っ只中の好景気を背景に潤沢な開発費が投じられ、細部にわたってクオリティーの高いクルマ作りが行われていたことでも評価の高いモデルです。

また、一般の乗用車よりもモデルサイクルが長かったため、改良のための小変更やマイナーチェンジが頻繁に行われており、エンジンに関してもディーゼル/ガソリンとも新型への切り替え、あるいは追加が実施されています。世界中で使われる実用車としての性能、耐久性等に加えて、高級車への進化という新たな課題のもとに開発が進められたランドクルーザー80ゆえ、そのエンジンにもクラストップのパフォーマンスが求められました。ここでは、そんなランドクルーザー80に搭載された歴代のエンジンを見てみましょう。

人気のランドクルーザー80

エンジンヒストリー

3F-E型ガソリン

先代のランドクルーザー60ワゴン(FJ62G)に搭載され、そのままランドクルーザー80ワゴンに継承されたガソリンエンジンが、この3F-E型です。それまでキャブレター仕様だった3F型の吸気系を電子制御式インジェクションに進化させた、3,955cc直6・OHVユニットで、最高出力155PS/4,200rpm、最大トルク29.5kgm/2,600rpmを発生するエンジンです。当時の国産4WD車ではトップクラスのハイパワーエンジンでしたが、キャブレター仕様の3F型に較べて最大トルク値が0.5kgmダウンし、発生回転数も400rpm高かったため、クロカン派からは酷評された経緯があります。しかし、ランドクルーザー黎明期からパワフルな大排気量ガソリンエンジンとしてランドクルーザーファンを魅了した “F”の最終型として重要な役割を果たしたエンジンと言えるでしょう。

1FZ-FE型ガソリン

高速道路でもオフロードでもディーゼルターボ(1HD-T型)搭載車の性能が上回っていたため、結果的には「ガソリン車が最強」というそれまでのランドクルーザーのイメージを崩壊させてしまった3F-E型に代わって1992年に登場したガソリンエンジンがこの1FZ-FE型です。排気量は4.5リッターにかさ上げされ、バルブ機構もオーバーヘッドカム化&ツインカム化されるなど、旧態依然としていたランドクルーザーのガソリンエンジンはこの1FZ-FE型で一気に近代化されました。4,476cc直6のDOHCユニットは、最高出力215PS/4,200rpm、最大トルク38.0kgm/2,600rpmを発揮し、ランドクルーザー・ガソリン車の名誉挽回を果たしました。スペックを見ても分かるように、パワー/トルクが大幅に向上しながらも、その発生回転数は同じということで、扱いやすさも高く評価されたエンジンです。

1HZ型ディーゼル

ランドクルーザー80のデビューから引退までの8年間を通して設定されていたノンターボ・ディーゼル(渦流室式)が1HZ型です。排気量やエンジン形式はターボ車と同じく4,163cc直6・OHCで、最高出力135PS/3,600rpm、最大トルク28.2kgm/2,000rpmを発揮する堅実なNA(自然吸気)ディーゼルです。初期のSTD(スタンダード)やGXといった実用車あるいは作業車として使われることの多いベーシックグレードに搭載されていました。上級グレードに搭載されるターボエンジンに較べると非力さは否めませんが、ターボが利かない低回転域でのトルクの落ち込みがないノンターボエンジンのメリットであるパワー&トルクバンドの広さが扱いやすさが好評で、ランドクルーザー80を実用車として、あるいはクロカン車として使用するユーザー等に支持されました。

1HD-T型ディーゼルターボ/1HD-FT型ディーゼルターボ

ランドクルーザー80のデビューから1995年までの前・中期に設定されていたのが1HD-T型、1995年以降の後期に設定されていたのが1HD-FT型で、ともに4,163cc直6・OHCの直噴式ディーゼルターボ・エンジンです。型式からも分かるように、1HD-FT型は1HD-T型の改良型。当時の排気ガス規制強化に対応するため、1HD-T型をシングルカムのまま1気筒あたりの吸排気バルブを4バルブ化し、燃焼効率を改善。排気ガスのクリーン化を達成したのが1HD-FT型となります。この改良で最高出力は165PS/3,600rpmから170PS/3,600rpmへ、そして最大トルクは37.0kgm/2,000rpmから38.7kgm/2,500rpmへと向上しました。200PSオーバーを誇るFZJ80こそ国産4WDの最高峰に相応しいモデルとされていましたが、実際の販売登録台数ではディーゼルターボ搭載のHDJ81Vが圧倒的に多く、4WDの主流はディーゼルターボというのが世間一般の認識であったと言えるでしょう。

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執筆者

武内 祐徳(たけうち ひろのり)
モトクロス/エンデューロなどダート系2輪レース参戦を趣味としており、マシンを運ぶためのトランスポーターとしてハイエースを所有。学生時代に建築を学んできた知識を活かし、自らハイエースの内装カスタムなども手掛ける。ハイエースやランクルの素晴らしさを多くの人に知ってほしいと自動車ウェブメディアの編集者へ転身。得意な車種はハイエース/ランドクルーザー/ロードスター/ジムニーなど。