随所が40系からの脱皮を感じさせる仕様になっていた
FJ55V は先代のFJ45V がフルモデルチェンジし、登場したモデルです。先代のFJ45V は40系のロングホイールベース車としてラインナップされており、フルモデルチェンジで全く新しい専用ボディが与えられて1967年に登場しました。1975年にはF型ガソリンエンジンが2F型へと進化し、各部が改良されてFJ56Vへと世代交代しています。50系と呼ばれることもありますが、実質的には前期型の55と後期型の56の2モデルのみなので、いわゆる“系列”は成立しないとされています。
概要
国内で流通している中古車は非常に少ないレアモデル
国内では1ナンバーのバン(貨物)登録(特殊車両は除く)でしたが、当時北米で人気だったステーションワゴンを強く意識して設計されたモデルで、いわゆるジープ・スタイルから脱却したボディ、パワーウインドゥ式のリアゲート、前向きリアシートなど、随所に40系からの脱皮を感じさせる仕様となっています。北米マーケットでは「Land Cruiser Station Wagon」として販売され、“ムース(moose=ヘラ鹿)”の愛称で親しまれました。
しかし、当時まだステーションワゴンを自家用車として使う文化がなかった日本では、相変わらず作業車や商用車としての需要が主流で、個人ユーザーに広く普及することはありませんでした。もともと登録台数が多くなく、生産終了から35年以上経過しているため、中古車として流通している台数はごく僅かです。ごく稀に消防車や霊柩車の払い下げ車両など、極端に走行距離の少ない個体が発掘されることもあります。また、55V、56VともNOx規制対象車となるので、対策済み車、あるいはごく稀に見かける特殊車両以外は規制地域内での登録は不可能となります。
ボディカラー
オリジナルの国内仕様はシシリアンオリーブ/白の設定
先代モデルであるFJ45V時代からの2トーンカラーボディが継承され、シシリアンオリーブ/白が設定されていました。ステーションワゴンとして輸出された北米モデルには赤/白の2トーンなどもありましたが、国内仕様は55V、56Vともこの設定のみです。ただし、現存する中古車両には再塗装車も多く、また、新車時から公用車や特殊車両用に塗装されていた個体もあるので、オリジナル塗装のボディカラーを保っている車両は稀でしょう。