ハイエースのリセールバリューの現状
トヨタ ハイエース1のリセールバリューが高いことを、自動車ユーザーの皆さんもなんとなくはご存知のことでしょう。自動車業界では周知の事実で、他車種と比較してもその違いは顕著です。
一般的な乗用車が新規登録から3年で新車価格の50〜60%程度まで下落するのに対し、ハイエースは同期間で70〜80%の価値を維持することも珍しくありません。さらに驚くべきことに、使用年数が10年を超える車両でも、新車価格の50%以上で取引されるケースが散見されます。
具体的な数字を見てみましょう。2021年モデルの新車価格が約350万円のハイエースDX(標準ボディ、ガソリン車)を例にとると、登録から3年が経過した2024年時点では約280万円前後で取引されています。これは新車価格の80%に相当し、同クラスの他メーカー車と比較しても圧倒的に高い水準といえます。
さらに注目すべきは、年式が古くなっても価格の下落率が緩やかな点です。2010年モデルのハイエースが2024年時点で150〜180万円程度で取引されているケースも少なくありません。これは新車価格のおよそ50〜60%に相当し、14年もの使用期間を経てなお、驚異的な価格保持率を示しています。
中古ハイエースの価値維持率
自動車は新車登録から年数を経ていくごとにその価値が下落していきますが、ハイエースはその落ち幅が一般的な自動車よりも遥かに緩やかです。では、実際にハイエースの登録後の価値をモデルや走行距離で見てみましょう。
スーパーGL(ディーゼル)の場合:
新車価格:430万円として
3年後:340〜350万円(維持率:約80%)
5年後:300〜310万円(維持率:約70%)
7年後:260〜270万円(維持率:約62%)
10年後:220〜230万円(維持率:約52%)
DX(ディーゼル)の場合:
新車価格:320万円として
3年後:240〜250万円(維持率:約77%)
5年後:210〜220万円(維持率:約67%)
7年後:180〜190万円(維持率:約58%)
10年後:150〜160万円(維持率:約48%)
走行距離別の価格推移
走行距離:価格保持率(平均)
〜3万km:85〜90%
3〜5万km:75〜80%
5〜10万km:65〜70%
10〜15万km:55〜60%
15〜20万km:45〜50%
※2020年以降のモデルの場合。
FLEXでのハイエースの中古車相場
FLEXでは自社で取り扱っているハイエースバン、ハイエースワゴン、ハイエースコミューター、レジアスエースの中古車相場の推移をまとめています。ハイエースコミューターは600万円を超える価格を維持しており、シリーズのなかでは一番高い状態です。続いてハイエースワゴンは470〜500万円を切る価格で、需要が高いことがわかります。ハイエースバンも同様で、変動はあるものの400〜450万円前後が平均となっています。年式だけでなく、走行距離ごと、年式と走行距離のかけ合わせでも価格分布がわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
では、なぜハイエースはこれほどまでに高いリセールバリューを維持できているのでしょうか。次のセクションでは、その要因を詳しく分析していきます。
驚異的なリセールバリュー5つの理由
実際に中古車市場の相場において、ハイエースは他の車両よりも高い価値を残していることがわかりました。では、なぜそのようなことになっているのか、理由を探ってみましょう。
理由1:圧倒的な信頼性
ハイエースは働く車として企画開発されました。日々、日本の道を休まずに走り続けるには、「できるだけ故障しないこと」が重要です。トヨタは、
1.エンジンの堅牢性
ディーゼルエンジン:40万km以上の走行実績も
ガソリンエンジン:25万km以上の走行でもトラブル少なく
定期的なメンテナンスで、50万km超えも可能
ハイエースに搭載されるエンジンは、商用車用にセッティングされています。低回転域でのトルクを重視し、頻繁な発進・停止や重量物の積載にも耐える設計となっています。特に、2.8リットルディーゼルエンジン(1GD-FTV)は、数十万kmの走行でもメジャーなトラブルが少ないことで知られています。
2.足回りの耐久性
リーフサスペンション:重積載でも耐久性抜群
ブレーキシステム:業務用として設計された高耐久性
足回り部品:交換頻度が少なく、維持費を抑制
商用車として長距離・長時間の使用に耐えるよう、サスペンションやブレーキシステムは特別に強化されています。特に、リーフスプリングを採用したリアサスペンションは、重量物の積載時でも安定した走行を実現し、長期間の使用にも耐える設計となっています。
3.ボディ構造
防錆処理:重要部位に二重防錆処理
フレーム構造:高剛性で経年劣化が少ない
ボディパネルの厚み:同クラス最高水準の厚み
ボディパネルやフレームには高度な防錆処理が施されており、塩害の厳しい地域や、冬季の融雪剤使用地域でも、錆の進行を最小限に抑えることができます。
また、ハイエースは、ビルトインラダーフレーム構造を採用しています。この構造は、軽量化と高剛性を両立させ、衝突安全性能を高めると同時に、長期使用による歪みや劣化を最小限に抑えます。10年・10万kmを経過した車両をライバルと比較すると、状態にかなり差が出るという声も挙がっています。
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4.シンプルな構造
ハイエースは、最新の電子制御技術を採用しつつも、基本的にはシンプルな機械構造を維持しています。これにより、故障のリスクが低減され、またトラブルが発生した場合も比較的容易に修理が可能です。
これらの特徴により、ハイエースは長期間にわたって高い信頼性を維持し続けます。例えば、30万km以上走行した中古車でも、適切なメンテナンスが行われていれば、まだまだ現役で使用可能なケースが多く見られます。この事実が、バイヤーに対して強い安心感を与え、結果として高いリセールバリューにつながっているのです。
理由2:多目的性と汎用性の高さ
ハイエースの高いリセールバリューを支えるもう一つの重要な要因が、その多目的性と汎用性です。ハイエースは、様々な用途に対応できる柔軟性を持っており、これが幅広い需要を生み出しています。
1.多彩なボディバリエーション
ハイエースは、標準ボディ、ロングボディ、スーパーロングボディの3種類の車体長と、標準ルーフ、ミドルルーフ、ハイルーフの3種類の車高を組み合わせた、多彩なボディバリエーションを用意しています。これにより、用途に応じて最適な車両を選択することができます。
見分け方はコチラ▶
2.内装のカスタマイズ性
ハイエースの内装は、シートレイアウトの変更や架装が容易な設計となっています。これにより、荷物専用の貨物車から、10人乗りの旅客車、さらには移動販売車や8ナンバー登録のキャンピングカーまで、多様なニーズに対応することができます。
3.商用車としての性能
大容量の荷室と優れた積載能力を持つハイエースは、小規模事業者から大企業まで、幅広い事業者のニーズに応えることができます。特に、3mもの長尺が詰めるハイエースバンは、その積載量も相まって、数多くの業種で重宝されています。
4.レジャー用途での活用
ハイエースは、商用車としてだけでなく、レジャー用途でも人気があります。広い室内空間を活かしたキャンピングカーへの改造や、サーフィンやスノーボードなどのアウトドアスポーツ用の車両としても重宝されています。
5.多用途性
近年では、移動式オフィスや専門車両(例:移動診療車、移動図書館)としての需要も高まっています。ハイエースの安定した走行性能と広い室内空間は、こうした特殊用途にも適しています。
この多目的性と汎用性は、中古車市場において大きな強みとなっています。例えば、元々は貨物車として使用されていた車両が、中古市場でキャンピングカーに改造されて高値で取引されるケースも少なくありません。また、事業用途で使用されていた車両が、個人のレジャー用途に転用されることも珍しくありません。
具体的な例を挙げると、5年使用された貨物用のハイエースをベースに内装を改装してキャンピングカーにすることで、元の取引価格よりも20〜30%高い価格で売却されるケースがあります。これは、ハイエースの汎用性が中古車市場において付加価値を生み出しているといえるでしょう。
このように、ハイエースの多目的性と汎用性は、新車購入時だけでなく、中古車として転売する際にも大きな魅力となっています。結果として、幅広い需要が常に存在し、それがリセールバリューの維持につながっているのです。
理由3:カスタマイズ性の高さ
ハイエースのアフターパーツの充実さについて、主要な項目別に解説します。
1.内装のカスタマイズ
ベッドキット、収納棚、断熱材など、車中泊やキャンピング用のパーツが豊富です。業務用途向けには、床材や防護パネル、シートアレンジ用のパーツも充実しています。
2.外装カスタマイズ
エアロパーツやホイール、ライト類が多数のメーカーから販売されています。商用車でありながら、ドレスアップカスタマイズも可能な点が特徴です。
3.メカニカル
サスペンションやブレーキ、エンジン関連パーツなど、性能向上のためのカスタマイズパーツが充実しています。純正部品との互換性も高く、整備性に優れています。
4.電装系
ナビゲーション、バックカメラ、車内照明など、快適性を高める電装パーツが豊富です。商用車向けの業務用機器の取り付けにも対応しています。
5.業務用カスタマイズ
移動販売車や介護車両など、特殊用途への改造に必要なパーツが揃っています。専門のカスタマイズショップも多く、技術サポートも充実しています。
ハイエースのカスタムはハイエースベースで▶
理由4:海外市場での需要
ハイエースの高いリセールバリューを支える第四の要因として、海外市場での強い需要が挙げられます。日本国内に加えて海外からの需要が加わることで、中古車市場での価格が押し上げられる効果があります。
1.主要な輸出市場
ハイエースの主要な輸出先には、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国(特にフィリピン、インドネシア、タイなど)、中東諸国、アフリカ諸国などがあります。これらの国々では、ハイエースは信頼性の高い商用車・多目的車として高い評価を得ています。
また、海外では日本と同様に右ハンドル車を採用している国もあり、現地では中古車としてハイエースを輸入しても違和感なく乗ることができるというわけです。
2.耐久性への評価
発展途上国を中心に、道路状況が悪い地域でも、ハイエースの耐久性は高く評価されています。例えば、アフリカの一部の国々では、悪路や過酷な気候条件下でも長期間使用できる車両として、ハイエースは絶大な人気を誇っています。
3.グレーマーケットの影響
一部の国々では、公式のディーラーを通さない「グレーマーケット」でのハイエースの取引が活発です。特に、トヨタが公式に販売していない国や、高額な関税が課される国などで、この現象が顕著に見られます。このグレーマーケットでの需要も、日本国内の中古車価格を押し上げる要因となっています。
4.為替の影響
円安傾向が続くと、海外バイヤーにとって日本の中古車がより魅力的な選択肢となります。例えば、2022年以降の円安局面では、海外からの需要が急増し、一部のモデルでは国内価格が上昇するという現象が見られました。
5.現地生産モデルとの差異
タイやオーストラリアではすでに300系が流通していますが、旧モデルに当たる200系、日本製のハイエースを求める声も根強く、日本からの輸入中古車も依然として高い需要が集まっています。
6.中古車輸出ビジネスの発展
日本の中古車輸出業者が、海外市場のニーズに合わせて効率的な輸出システムを構築していることも、需要を後押ししています。例えば、オンラインオークションシステムの発達により、海外バイヤーが直接日本の中古車市場にアクセスできるようになりました。
7.観光業での需要
特に東南アジアやオセアニア地域では、ハイエースを利用した観光ビジネス(小規模なツアーオペレーターなど)が盛んです。この需要も、中古ハイエースの市場価値を押し上げる要因となっています。
8.環境規制の影響
一部の発展途上国では、先進国ほど厳しい環境規制が適用されていない場合があります。そのため、日本国内では規制により使用が難しくなった古い年式のハイエースでも、これらの国々では依然として高い需要があります。
これらの要因により、ハイエースは国内市場だけでなく、グローバルな需要を背景に高いリセールバリューを維持しています。特に、日本国内で使用された中古車が海外に輸出されることで、国内の中古車供給が減少し、結果として価格の下支えにつながっているのです。
理由5:モデルライフの長さ
ハイエース200系は2004年のデビューから改良を繰り返し、2024年12月現在では8型にまで至っており、モデルライフの長い車両として稀有な存在になってきています。ハイエースのモデルチェンジの少なさは、以下のような利点をもたらしています。
1.基本設計の継続性
1967年の初代から基本的な設計思想が継承されており、特に現行モデルは2004年から大きな変更がありません。この長期的な設計の継続により、整備のノウハウが蓄積され、修理や整備が容易になっています。
2.パーツの互換性
世代を超えて使用できる部品が多く、新旧パーツの組み合わせが可能です。これにより、整備コストを抑えることができ、中古車の維持費も安定します。
3.整備性の向上
長年同じ設計を継続することで、整備士の技術習熟度が高まり、効率的な修理やメンテナンスが可能です。また、故障診断や修理方法も確立されているため、整備時間の短縮にもつながっています。
4.中古パーツの流通
モデルチェンジが少ないため、中古部品の流通量が豊富です。これにより、修理コストを抑えることができ、車両の長期使用を可能にしています。
リセールバリューが高いから乗り換えもしやすい
このように、ハイエースの高いリセールバリューは、トヨタの確かな品質管理と実用性に加え、豊富なアフターパーツ、安定した海外需要、そして長期にわたる一貫した設計思想によって支えられています。特に商用車としての汎用性の高さは、新車購入時の選択肢としてだけでなく、中古車市場での価値維持にも大きく貢献しています。こうした総合的な強みにより、ハイエースは他の商用車と比較しても際立って高い資産価値を保持し続けているのです。
人気のハイエースバン
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- ハイエースバン 2.8 スーパ...
- 2022
- 支払総額:619.8万円
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- ハイエースバン 3.0 スーパ...
- 2012
- 支払総額:293.6万円
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- ハイエースバン 2.8 スーパ...
- 2022
- 支払総額:517.2万円
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- ハイエースバン 2.8 スーパ...
- 2024
- 支払総額:610.5万円
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- ハイエースバン 2.8 スーパ...
- 2023
- 支払総額:562.1万円
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- ハイエースバン 2.8 スーパ...
- 2022
- 支払総額:496.7万円
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